GM(General Motors)が、自動運転車の開発を加速している。自動運転技術を手掛ける新興企業Cruise Automationを買収した他、カーシェアリングサービスの大手Lyftと、長期的な戦略的提携も結んだ。
GM(General Motors)は3月11日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くオートパイロット(自動操縦)技術関連の新興企業であるCruise Automation(以下、Cruise)を買収することを明らかにした。
GMは買収額を開示していないが、今回の取引を決断した理由を、「Cruiseの、ソフトウェアに精通した人材と迅速な開発能力」としている。これによって、自動運転技術の開発を、さらに加速させたいとしている。
40人の従業員を抱えるCruiseは、2015年末までに3回の投資ラウンドを経て1880万米ドルを調達した。同社は、消費者が既に所有している自動車向けに、いわゆるアフターマーケット製品として、ハイウェイを自動走行するシステムを設計/開発している。
Cruiseが設計したシステムは自動車の屋根に取り付ける形になっていて、ミリ波レーダー、ステレオカメラ、GPS、慣性センサーが搭載されている。同社が以前語ったところによると、例えば、Audiの最新車種にこのシステムを取り付けると、ステアリングやブレーキ、アクセルを部分的に制御できる他、安全な車間距離を保つためにはどのレーンを走行すればよいかなども、自動で判断できるようになるという。
同システムは2015年から、価格1万米ドルで販売されている。
GMによると、Cruiseは今後、GMが最近設立した「Autonomous Vehicle Development Team(自動運転車開発チーム)」内の独立部門として稼働する予定だという。このチームは、GMの自動運転技術部門でバイスプレジデントを務めるDoug Parks氏が率いている。
Cruiseの技術が採用されたGM車が初めて披露される時期は定かではないが、Cruiseの技術が初めに統合されるのはカーシェアリング向けの車両になる可能性がある。
GMのエグゼクティブらは、同社が「パーソナルモビリティの未来を再定義すること」に注力していると言及し、電気自動車を含めた自動運転車を開発する計画であると強調した。
GMは2016年1月、オンデマンドのカーシェアリングサービスを手掛けるLyftに5億米ドルを投資し、長期的な協業関係を結ぶと発表した。これに伴い、GM独自のカーシェアリングブランドである「Maven」が誕生した。GMはこれ以外にも、また別の自動運転車開発部門を設立している。
Cruiseは、EE Timesが注目する、自動車関連の新興企業の1社だ。今後数カ月で、さらなる投資やM&Aが同社に提案される可能性がある。
GMは、「Cruiseの買収は通例の完了条件に従って進められており、2016年第2四半期には完了する見込みである」と述べた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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