京都大学や産業技術総合研究所などの研究グループは、蓄電池のリサイクル特性や充放電特性を向上させることができる基礎技術を開発した。この技術を応用した新型蓄電池は、車載向けリチウムイオン電池を上回るエネルギー密度を実現できる見通しである。
京都大学や産業技術総合研究所などの研究グループは2016年3月、蓄電池のリサイクル特性や充放電特性を向上させることができる基礎技術を開発したと発表した。この技術を応用した新型蓄電池は、現行のリチウムイオン電池をはるかに上回るエネルギー密度を実現できる見通しから、電気自動車(EV)などで電池走行の距離を伸ばすことができるという。
現行のEVやプラグインハイブリッド自動車(PHEV)では、リチウムイオン電池が広く利用されている。繰り返し充放電特性(サイクル特性)に優れているからだ。半面、イオンを収納する入れ物(ホスト材料)の重さや体積を考慮すると、実現可能なエネルギー密度には限界があるという。
これに対して、ホスト材料をなくし、金属そのものを電極として活用する「リザーバ型蓄電池」と呼ばれる新型蓄電池は、エネルギー密度は大幅に向上できるが、電極材料によってはリサイクル特性が課題となっていた。
そこで、京都大学や産業技術総合研究所などの研究グループは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共同プロジェクトにおいて、新たなコンセプトによるリザーバ型蓄電池を実現するための研究を行った。研究グループは、これまで不活性とされてきた電池系において、充放電特性やサイクル特性の向上につながる技術を開発した。この研究成果は、エネルギー密度が500Wh/kgという新型蓄電池を実現していくための基礎技術であるという。
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