最大で1万2000人の人員削減を行うと発表したばかりのIntel。現在、全製品を見直し、どのように構造改革を行っていくかを検討している段階だという。アナリストの中には、Intelの再編の動きを評価する声もある。
Intelは、自社の改革を目指して、既存事業へのさらなる注力と事業の多様化の両方に取り組む計画である。
Intelは同社の象徴ともいえるPC市場の落ち込みが、当初考えられていたよりも急激になると予測していることから、この改革は高くつくものになるかもしれない。
アナリストらは、Intelがクラウドコンピューティング分野を支配することで、強固な地盤を維持している点を評価した。一方で、IntelのメモリおよびIoT(モノのインターネット)への投資が、同社が望む通りに首尾よく利益を生むかという点には懐疑的な見方を示した。
CEOのBrian Krzanich氏は、カンファレンスコールの中で、12億米ドルのコストをかけて1万2000人の従業員を削減する計画を明らかにした。その中で同氏は「当社は売上高の40%と利益の60%をPC事業以外から得ている。今こそIntelをその戦略的方向へ推し進める時だ」と述べた。
Krzanich氏のかつての上司であるPaul Otellini氏は、モバイル機器市場が盛り上がり始め、PCが本格的に衰退し始めた2006年に、1万500人の一時解雇を実施した。今回の再編はそれを上回る規模になる。PC全盛期に“Wintel”とも呼ばれたパートナーであるMicrosoftは、2015年に新しいCEOが就任した際、16億米ドルをかけて1万8000人の従業員を削減している。
だがIntelの人員削減は、同社の主要顧客であるHP(Hewlett-Packard)に比べるとかすんでしまう。HPは過去2〜3年で分社化を繰り返す中、実に5万人以上を解雇してきた。
2015年も、PC市場の落ち込みという痛みは、成熟しつつあった半導体業界全体に広がり、BroadcomやAvago Technologiesといった大手企業の大規模な合併を引き起こした他、スマートフォンの成長が鈍化する中でQualcommが従業員の15%を解雇するといった動きも起きた。
Intelは2016年に95億米ドルを設備投資に充てる計画を維持する方針だ。この資金は主に10nmプロセスを適用するプロセッサと3D NAND型フラッシュメモリに投じられる。一方、新部門でプレジデントを務めるVenkata “Murthy” Renduchintala氏は現在、どのIntel製品を手放すかを検討している。
2016年第1四半期の業績が予想を下回ったため、Intelはその後、同年第2四半期の売上高はわずかに減少し135億米ドルになると予測した。同社は、2016年における売上高成長率の予測をわずかに引き下げて1桁台半ばにした他、PC売上高の減少率の予測を1桁台後半に引き上げた。
市場調査会社Insight64のNathan Brookwood氏は、「幅広く普及したPCだが、いよいよその時代の終わりが始まったのかもしれない。Intelが中堅の半導体メーカーだった1980年代に登場したPCは、今や“老年期”に入りつつある」と述べた。
Linley GroupのLinley Gwennap氏は「PCの全盛期は確かに終わったが、市場は存在する。とはいえ、以前のような活気はない」と付け加えた。
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