旭化成エレクトロニクスは、「MEMS Engineer Forum 2016」で、開発中のIoT向けセンサーを展示した。同社の竹澤遼氏に、IoT向けセンサーの特長や開発の狙い、今後の展開について話を聞いた。
旭化成エレクトロニクスは、2016年5月11〜12日に両国KFCホールで開催された「MEMS Engineer Forum 2016」で、開発中のIoT向けセンサーを展示した。同センサーは、赤外線/3軸地磁気/加速度センサーを搭載。防犯用途を想定したデモでは、スマートフォンアプリ(スマホ)から、ドアの開閉や振動、熱を検知する様子が見られた。
同社のセンシング事業部マルチセンサー事業開発部の竹澤遼氏は、「スマホ市場がコモディティ化する中で、そこで培った技術を横展開したいと考えた。その中で、注力する1つの分野として掲げたのがIoTである」と語る。
IoT向けセンサーの軸となるのは、同社の携帯端末向け製品がベースとなっている3軸地磁気センサーだ。従来と比較して、広い測定レンジを持ち、低消費電力なのが特長である。従来製品は測定範囲が4900マイクロテスラ(μT)までなのに対して、開発中の3軸地磁気センサーは各軸35mT(Z軸は最大105mT)まで測定できる。
竹澤氏によると、「ドアの開閉検知は、磁場の大きさの違いによって検知する。ドアは磁石と近接してるが、磁石は非常に大きな磁場だ。そのため、4900μTまでの測定範囲では対応できない。開発中の3軸地磁気センサーは、分解能自体もμTまで測定できるなど、ダイナミックレンジを大きく広げたのが特長となっている」という。
もう1つのが特長が、低消費電力であることだ。IoTでは、デバイスの消費電力をいかに減らすかが重要になる。特に、「センサーは何かが起こったときのトリガーになるため、必ず動作していなければならない」(竹澤氏)。つまり、センサーの消費電力をいかに減らすかによって、最終製品の電池寿命も変わってくる。
開発中の3軸地磁気センサーは、携帯端末向け製品よりも消費電力を10分の1以下に低減。具体的には、周波数1Hz駆動で約1μA、10Hz駆動でも約4μAとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.