インターシルは2016年6月1日、レーザー走査型の車載ヘッドアップディスプレイ(HUD)システム向けに4つのレーザーダイオードを駆動できるドライバーIC「ISL78365」を発表した。
インターシルは2016年6月1日、レーザー走査型の車載ヘッドアップディスプレイ(HUD)システム向けのレーザーダイオードドライバーIC「ISL78365」を発表した。4つのレーザーダイオードを駆動できる4チャンネル品で、チャンネル当たりの最大出力電流は750mA。「競合製品よりも2倍の電流」とし、高輝度なレーザー走査型HUDシステムを実現できる。
自動車のフロントガラスに映像を投影するHUDは、現状、反射型液晶パネル(以下、液晶型)を用いたシステムが主流だ。しかし液晶型HUDは、映像投影サイズがハガキサイズと小さく、路面上や前方車などに、情報映像を重ね合わせる本格的な拡張現実(AR)を実現するには難しかった。
一方で、レーザー走査型HUDは、映像投影サイズが広く本格的ARを実現しやすい投影方式として次世代のHUD技術と目されている。ただ、コストや輝度、解像度などの面で課題を抱え、発展途上にある。
今回、ISL78365は、レーザー走査型HUD搭載車の登場が予想される2019〜2020年をにらんだ製品として開発。さまざまなレーザー走査型HUDの課題を克服できるレーザーダイオードドライバーICとなっている。
まず、ISL78365は、車載品質規格「AEC-Q100 グレード1」を取得。「車載を前提にし、AEC-Q100を取得したレーザーダイオードドライバーICは業界初」(インターシル)という。
レーザー走査型の課題の1つである輝度を高めるため、駆動できるレーザー数(チャンネル数)を「4」とした。映像表示システムのレーザーダイオードドライバーICは通常、RGB(赤・緑・青)の3色のレーザーを駆動する3チャンネル構成だが、「強度の低いレーザーを2個にして強度を補えるよう4チャンネル構成とした」(同社)。これにより、輝度の低い緑色レーザーを2つ使うといったことができる。
その上で、1チャンネル当たりの最大出力電流を750mAと「車載用途にも提案されている競合製品に比べほぼ2倍にした」とし、従来より2倍程度、高強度なレーザーを使用できるようにした。
また高解像度映像を投影するため、出力信号の立ち上がり/立ち下がり時間を高速化。「競合製品は5ナノ秒程度だった」という同立ち上がり/立ち下がり時間を1.5ナノ秒未満に短縮。720pのフルHD解像度の映像投影に対応した。
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