アジレント・テクノロジーは、トリプル四重極ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)の第2世代製品「Agilent 8900」の販売を開始した。従来製品と比較し、約2倍の感度向上、ナノ粒子測定の強化、硫黄やケイ素などを低濃度まで測定できるといった特長を持つという。
アジレント・テクノロジーは2016年6月14日、トリプル四重極ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)の第2世代製品「Agilent 8900」の販売を開始すると発表した。
ICP-MSとは、ダイナミックレンジの広さを特長とした高性能の元素分析装置である。四重極形のプラズマ質量分析計やイオン化部、真空ポンプなどで構成され、半導体関連材料の不純物測定や水道水分析、医薬品中の金属不純物測定などに活用されている。
同社は2012年に「世界初」となるトリプル四重極形ICP-MS「Agilent 8800」を発表している。アジレント・テクノロジー・インターナショナルのプロダクトマーケティング部でICP-MSプロダクトマネジャーを務める杉山尚樹氏によると、「トリプル四重極にすることで、原理上分離しきれない物質を正確に測定できるようになった」という*)。
*)トリプル四重極形のICP-MSは、2016年6月14日時点でアジレント・テクノロジーのみが提供している。
Agilent 8900は、トリプル四重極形ICP-MSの第2世代製品。1)約2倍の感度向上、2)ナノ粒子測定の強化、3)硫黄やケイ素などを低濃度まで測定できるとする。
感度に関しては、新しいイオンレンズと真空系、軸方向加速イオンガイドを搭載したオクタポールリアクションセル採用により、Agilent 8800より約2倍向上。高速通信できる検出器システムの採用によって、チタン(Ti)やケイ素(Si)といった、より粒子径の小さなナノ粒子測定にも対応した。
また、アルゴン(Ar)ガスフローシステムを採用することで、硫黄(S)やケイ素(Si)といったの元素の検出下限を50pptまで改善している。これにより、半導体関連の材料や医薬品・ライフサイエンス分野により最適となったとしている。
アジレント・テクノロジー・インターナショナル前身の横河アナリティカルシステムズ時代から、同社は28年間、国内でICP-MSの開発/製造を続けている。杉山氏は、「国内で開発する必要があるのかという声もあるかもしれない。しかし、ICP-MSの専門性で他国に負けていないよう努力してきたこと。開発と営業の距離が近く、コミュニケーションを密にとることを続けてきたことが、ビジネス的な成果につながっている」と語る。
Agilent 8900の価格は4000万円。2016年中に、国内で50台の導入を目指すとした。
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