パナソニックは2016年7月、地下街や屋内でも位置誤差3m以下という高精度の位置情報をスマートフォンなどの端末を使って取得できる測位システムを開発したと発表した。
パナソニックは2016年7月12日、GPS(衛星測位システム)の電波が届かない地下街や屋内でも位置誤差3m以下という高精度の位置情報をスマートフォンなどの端末に対して提供できる測位システムを開発し、2016年9月から提供すると発表した。
一般に、GPS電波が到達しない地下街や屋内などで、位置情報を取得する方法として、Wi-Fiなどの無線を使った3辺測量技術や、Bluetoothなどの無線ビーコンからの電波強度で位置を割り出す技術が使用されている。ただ、Wi-Fiなどを使った3辺測量では、アクセスポイントの設置コスト問題がある他、設置状況によって数メートルから数十メートルの誤差が生じ、精度面でも課題があった。Bluetoothなどの無線ビーコンについては、手軽にビーコンを設置できるものの、ビーコンの電波受信可能な範囲内での測位にとどまり、より正確な位置を計測する用途には向いていない位置情報取得技術だった。さらに、いずれも単独では、位置計測対象の向きの特定も難しかった。
今回、パナソニックが開発した高精度位置情報提供技術は、指向性の高いBluetoothビーコンと、高精度自律航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)、高精度マップマッチング(PMM:Pedestrian Map Matching)の3つの技術を組み合わせることで、位置誤差3m以下という高精度の位置情報の提供を可能にした。
高精度での位置情報計測、提供の仕組みは次の通りだ。
まず、スマートフォンを利用して、新たに開発した独自Bluetoothビーコンからの信号強度と、ビーコンの位置から絶対位置を計測する。独自ビーコンは、ビーコン信号の指向性を高め、電波干渉を抑えながら距離に応じた電界分布を作り出せ、従来のBluetoothビーコンよりも正確な位置計測ができる。
例えば、ビーコン直下(水平距離0m)での位置計測正答率は、従来ビーコンでは80%程度だったが、開発したビーコンでは100%を達成。加えて、ビーコンとの水平距離3mでの正答率は、70%を上回り従来ビーコンの3倍に達したという。なお、開発したビーコンは、高さ10mまで設置できる他、単三形乾電池4本で約6.5年間動作するとしている。
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