日立製作所は2016年6月、AI技術を活用し、働く人々の幸福感向上に有効なアドバイスを、各個人のデータから自動で作製する技術を開発し、日立グループの営業部門に所属する約600人に対して、実証実験を開始したと発表した。今回、実証実験に参加した2人にインタビューを行った。
日立製作所は2016年6月、AI技術を活用し、働く人々の幸福感向上に有効なアドバイスを、各個人のデータから自動で作製する技術を開発し、日立グループの営業部門に所属する約600人に対して、実証実験を開始したと発表した。
今回の発表に伴い、ソーシャルメディア上では、さまざまな反響が出ている。「ワクワクする」「日本の働き方を改善するかも」といった期待の声と同時に、「機械に人間が使われる状態じゃない?」「コンピュータに操られている」などの声もある。
AIから送られてくるアドバイスは、果たして働く人々の幸福感向上につながるのだろうか。そこで今回、実際に実証実験に参加した方々にインタビューを行った。インタビューを行ったのは、日立製作所の流通営業本部第一営業部で部長を務める加藤伸司氏と、同じく第四営業部で部長を務める西山達也氏の2人である。
なお、AI技術の詳細については、日立製作所の研究開発グループで技師長兼人工知能ラボラトリ長を務める矢野和男氏に行ったインタビューを参照してほしい。
EE Times Japan(以下、EETJ) 今日はありがとうございます。まず、普段の業務についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
西山氏) 私たちは、ITを商材とした営業部門で、産業・流通業向けにビジネスを行っている。営業部門全体で300人所属し、その内の約200人が実証実験に参加した。
EETJ 実証実験を行うと聞いたときは、皆さんどのような印象でしたか?
加藤氏 存在自体は知っていたが、最初は「え、やるのかよ……」と思った(笑)。そうは言っても、似たアプリケーションとして、会議や打ち合わせなどのコミュニケーションを可視化する「ビジネス顕微鏡」を商材で扱っていた。しかし、営業部門として、技術的な詳細を理解できていない部分もあったため、望んで挑戦した。
EETJ 「やるのかよ」というのは……。
加藤氏 「めんどくさいな」「実証実験に参加すると、たくさん売らないといけないのかな」といった気持ちは多少あった(笑)。
西山氏 私たちの営業部も、同じように「やるのかよ……」といった声もあった。しかし、参加に積極的だった人も多くいた。商材として捉えているため、今回の技術がどんなものかを、自身がモルモットになって体験するためだ。
「やるのかよ……」と前向きでなかった人は、面倒くさい気持ちがあったと思う。何をやるのかが、よく分かっていなかったからだ。実際に始まってみると、たいした工数が掛かるわけでもないので、不平不満は出なかった。
加藤氏 本人がやることは、基本的に何もない。出社してウェアラブルセンサーを首から掛け、帰るときに充電器に取り付けるだけ。後は、スマートフォンにアドバイスが届くため、そのアドバイスを実行するぐらいだ。
西山氏 アドバイスも、朝の情報番組で放送される「占い」や「今日のラッキーカラー」のコーナーを見ているような感覚で、スマートフォンからいつも見ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.