三菱電機は、最寄り駅からイベント会場などへ向かう経路の混雑状況を高い精度で予測する「リアルタイム混雑予測技術」を、東京大学西成研究室と共同で開発した。
三菱電機は2016年8月、最寄り駅からイベント会場などへ向かう経路の混雑状況を高い精度で予測できる「リアルタイム混雑予測技術」を、東京大学西成研究室と共同で開発したと発表した。混雑度合いを軽減することで来場者の安全を高めつつ、警備作業の効率化が可能になるという。
新たに開発したリアルタイム混雑予測技術は、歩行経路に設置された監視カメラ映像から、歩行者/来場者の流量をリアルタイムに算出し、「高速群集移動シミュレーター」を用いて混雑状況を予測する。予測結果は実際の混在状況と比較して、約80%と高い精度を実現しているという。また、シミュレーターには、東京大学西成研究室が開発した「高速群集移動モデル」を採用した。近くの人の情報のみで計算するため、従来方式に比べて計算量を削減することができ、高速処理を実現したという。
これまでも、イベント会場までの経路における混雑予測を行うシステムは用いられてきた。しかし、従来技術は過去に収集したデータ(通行量)を基に混雑状況を予測していたため、その予測精度は50%程度だったという。シミュレーションには周囲の全ての人の動きを考慮した行動モデルを用いているため、計算量が膨大となっていた。
今回開発した技術は、混雑が発生する箇所をリアルタイムに、高い精度で予測可能にした。このため、回避経路の設定など現場の状況に適した混雑解消の対策を、迅速かつ的確に行うことができる。さらに、来場者の安全・安心を確保しつつ、警備作業の効率化による人件費の節減も可能になるとみている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.