三菱電機は、研究開発成果披露会で、24件の成果を紹介した。同社は、「研究開発の成果は成長戦略を推進していくための要」と位置付ける。
三菱電機は2016年2月17日、研究開発成果披露会を開催した。成長戦略実現に向けた開発を推進していく中で、2020年までに実現していく技術案件と、それ以降に向けた長期的な研究案件まで、幅広いテーマに取り組んでいる。その中から今回は、「未来社会への貢献」をテーマに、合計24件の研究成果を紹介した。
冒頭、三菱電機の社長を務める柵山正樹氏は、2015年3月期の連結業績予想に触れ、「売上高は4兆3800億円、営業利益は3000億円の見通し」と話した。ここにきて原油価格や為替レート、株価などが変動するなど、足元が不透明な中で、「成長性、収益性、効率性、健全性などのバランス経営によって、外部環境の変化に影響されない経営を続けていく」ことを強調した。
また、創立100周年を迎える2020年度(2021年3月期)までには、連結売上高5兆円以上、営業利益率8%以上を達成するという経営目標もあらためて示した。こうした中で、「研究開発の成果は成長戦略を推進していくための要となる」(柵山氏)と述べ、短・中期に必要となる技術だけでなく、2020年以降に研究成果が出てくるような、未来技術にも投資していく計画である。
今回の成果披露会でも、2020年までに実現可能な技術を「明日への切符」、それ以降に実現される技術を「未来への扉」と分類し、それぞれ14件と10件を発表した。
引き続き、常務執行役で開発本部長を務める近藤賢二氏が、三菱電機における研究開発戦略などを紹介した。近藤氏は新たな価値の創出を、卵に例えて説明した。「これまで当社は、モノづくりに重点を置き発展してきた。これは卵の黄身を提供してきたことになる。これからは、黄身(モノづくり)も大切にしながら、白身(サービス)を大きくすることで顧客に喜びを提供したい。このためにはIoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)の技術を活用していくことが重要となる」と述べた。
近藤氏は、成長戦略実現に向けて、2020年度の経営目標はあくまでも通過点であり、最終目標ではないことを強調する。これまで同社が蓄積してきた技術資産をベースに、「強い事業をより強く」するとともに、「強い事業の創出」と「ソリューション事業の強化」に取り組む考えである。同社が考えるソリューション事業とは、強い事業を組み合わせたり、強みを持つ製品を組み合わせたり、強い製品とサービスを組み合わせたりすることである。そこにIoTという手法を用いることで競争力を高めていく。その上で、2020年度以降もさらなる成長を見込む。
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