三菱電機の中国法人は、中国 上海で開催されているパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Asia 2016」(2016年6月28〜30日)に出展し、鉄道車両や産業用途、電気自動車(EV)向けのIPM(Intelligent Power Module)やIGBTなどを展示した。
三菱電機の説明担当者は、中国のパワーエレクトロニクス分野では、鉄道などのインフラ、産業機器、家電など中電力および小電力を必要とするもの、電気自動車(EV)の4分野に注力しているという。
鉄道車両などのインバーター向けのパワーモジュールとしては、2016年4月に発表したばかりの「HV(High Voltage)IGBTモジュール Xシリーズ 新型デュアル」を参考出展した。他社品とのパッケージの共通化を図り、第7世代のIGBTを採用している。サンプル出荷は、耐圧3.3kV(パッケージタイプLV100)を2017年3月に、同1.7kV品/3.3kV品(パッケージタイプHV100)/4.5kV品/6.5kV品を2018年以降に開始する予定だ。中国の高速鉄道向けパワーモジュール市場で高いシェアを持つ三菱電機だが、中国政府によるインフラへの投資、特に高速鉄道への投資は、中国の景気減速により鈍ってきているというのが現状だとも述べた。
EV用モーターの駆動に用いる自動車用IPMは、三菱電機が中国で注力する製品カテゴリーの1つだ。同社の説明担当者は「2015年、中国のEV市場規模は約33万台だった。今後は、政府の補助金や大気汚染対策によってEV市場が拡大し、2020年には100万台の規模になると予測されている。このような成長市場に向けて、EV向けIPMの拡販を図っていく」と述べる。
白物家電のインバーター駆動用の小型パワーモジュール「SLIMDIP」も展示した。SLIMDIPは、ダイオードとIGBTを1チップ化したRC(逆導通)-IGBTを採用したことで小型化を図っている。三菱電機は、「中国のインバーター搭載エアコン市場では50%以上のシェアを持っているが、さらなるシェア拡大を図るために、インバーター搭載冷蔵庫などに向けてSLIMDIPを展開していく。中国では、インバーター搭載冷蔵庫の市場は、エアコンに比べるとまだかなり小さい。ただ、エアコン市場にもいずれ限界はくるので、これから伸びると予想されるインバーター搭載冷蔵庫をはじめ、新たな市場を開拓していきたい」と述べた。
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