さらに、これらの「希望と絶望の相転移」が生まれてくるのには、もう1つ理由があります。それは“人工知能”という用語それ自体にあります。
驚かれる人もいるかもしれませんが、そもそも“人工知能”という技術は存在しないのです。
これらの技術は、(原則として)全く関連のないバラバラの技術です。
どれくらい関連がないかというと「すべり台」と「ブランコ」と「ジャングルジム」くらい、関連ありません。それは、全て「遊具」というカテゴリーには入りますが、形状も、製法も、目的も全然違います。
これら一つ一つの技術は、定番の手法となったり、役に立たないものとして忘れ去られたり、あるいは爆発的なブームとなったり(そしてブームが去ったり)しているのです。
しかし、多くの人が、これらの個別の技術を乱暴にまとめて“人工知能”と呼ぶものですから、“人工知能”の研究開発は、時代とともに、さまざまな新しい知的処理の技術を加えながら、「希望と絶望の相転移」を繰り返していくことになってしまったのです。
多分、この「相転移」は、人類が絶滅するまで、続いていくでしょう ―― うまくいけば、どこかで「ナンシー」が生まれてくるかもしれませんが ―― 断言しますが、今回の「第3次ブーム」で、「ナンシー」が登場しないことについて、私は、自分のエンジニア人生を賭けてもいいです。
「第3次ブーム」の主役は、深層学習(ディープラーニング:Deep Learning(DL))だそうですが、私は、このDLアルゴリズム、を自分で実装して(ちんまい、せこい、小規模なものですが)試してみましたが、「『ナンシー』が登場する余地、絶無」と判断しています。
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