2015年にFPGA大手Alteraを買収したIntel。2016年8月30日にIntelのFPGA事業を担当する幹部が来日し、今後の製品開発方針やIntelとしてのFPGA事業の位置付けなどについて語った。
Intel(インテル)は2016年8月30日、東京都内でFPGA事業に関する記者向け説明会を開催し、次世代FPGA製品の開発方針などを明らかにした。
Intelは2015年12月にFPGA大手のAltera(アルテラ)を167億米ドルで買収。Aletraを母体に事業本部「プログラマブル・ソリューション・グループ」(以下、PSG)を設立し、FPGA事業を展開している。現在もAlteraブランドを継続しているものの「将来的には、Alteraブランドはなくなり、“Intel FPGA”になる」(PSG Vice Presidentを務めるVince Hu氏)とし、あくまでIntelのFPGA事業としてビジネスを展開していく方針だ。
ただ、製品開発や営業サポートなど事業全般については、これまでのAlteraの事業方針を基本的には踏襲する。その上で、世界最大の半導体メーカーであるIntelの経営資源を生かして「FPGAのイノベーションを加速させるなどし、FPGA業界を変革する」(Hu氏)という。
製品ブランド名については「Stratix、Arria、Cyclone、Maxなどのブランド名を、これまで通り使用する」(Hu氏)。製品開発計画も「買収後も、大きく変更していない」とし、Intelの14nmプロセス製造ラインで生産するハイエンドFPGA「Stratix 10」は、2016年10〜12月から出荷する計画。「Stratix 10の出荷で、より“Intel FPGA”の認知が高まるだろう」とし、Intelの工場を初めて使用するFPGA製品であるStratix 10とともに、“AlteraのFPGA”が本格的に“IntelのFPGA”へと移り変わっていく見込みだ。
Hu氏は、Stratix 10などの「第10世代」の後継に相当する次世代FPGAの開発ロードマップも提示。次世代FPGAは、現行のStratixに相当するハイエンド、Arriaに相当するミドルレンジ、Cycloneに相当するローエンドの3つの製品群で構成し、買収前のAlteraが提示していたロードマップと変わらない。
ただ、開発コード名は、ハイエンド製品群が「Sequoia」から「Falcon Mesa(HE)」に、ミドルレンジ製品群が「Oak」から「Falcon Mesa(MR)」に、ローエンド製品群が「Ceder」から「Harrisville」にそれぞれ改称。また、採用プロセスも当初、ミドルレンジのOakではIntelの14nmプロセス技術を採用する方針だったが「マイナーチェンジして、ハイエンドと同じ、Intel 10nmプロセス技術を採用することにした」とする。なお、ローエンドのHarrisvilleは、Intel 22nmプロセス技術を使う。これら次世代FPGAの出荷時期についてHu氏は明かさなかったが「既に開発には着手している」と語った。
次世代FPGAロードマップに、これまでAlteraの製造パートナーだったTSMCの名はないが「TSMCは、Altera、Intel双方にとって重要なパートナー。関係性はこれまでと変わらない」と強調。また、TSMCの55nm フラッシュ混載プロセス技術を採用するMax 10の後継世代については「Maxの製品開発サイクルは(Stratixなどよりも)長く、5〜10年と考えており、短期的な開発ロードマップには含まれていないだけ」とした。
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