NECは、防犯カメラの映像を解析することで、数万人規模の混雑度と人の流れを、高い精度でリアルタイムに推定、予測する技術を開発した。同社が行った実証実験では、10分後の混雑状況を20%以内の誤差精度で予測することができた。
NECは2016年10月、防犯カメラの映像を解析することで、数万人規模の混雑度と人の流れを、高い精度でリアルタイムに推定、予測する技術を開発したと発表した。同技術を大規模スポーツイベント会場周辺で検証したところ、10分後の混雑状況を20%以内の誤差精度で予測できることを確認したという。
NECは、防犯カメラの映像から、その地域における混雑度を高精度に可視化できる独自の「群衆行動解析技術」を開発し、実用化してきた。今回は、同社のAI技術群「NEC the WISE」である群衆行動解析技術をさらに強化し、大規模な人の流れを、高い精度でリアルタイムに推定、予測できる「混雑予測技術」を新たに追加した。
具体的には、防犯カメラの映像を解析し、群衆の混雑度を高い精度で可視化する技術と、映像から人の動きを抽出する技術を組み合わせた「群衆流量推定」技術を開発した。この技術は、数百人規模が往来する路上において、特定地点における人の密度と個々の向き情報を算出し、方向別に進む人数を定量的に把握することができる。
重なり合う人達の固まりも選択的に検出した上で、それらの動きを統合、分析することで、カメラ画角内の群衆の混雑度と流れの分布を高精度に推定することが可能となった。今回開発した技術を用いると、かなり混雑している場所でも、滞在人数や方向別の通過人数を定量的に把握することができるという。
大規模な人の流れをリアルタイムに、より正確に予測する「リアルタイム人流予測」技術も開発した。各地点の群衆の混雑度や人の流れといった情報について、人の移動を模倣するプログラム(エージェント)の集合として表し、これを分析することで実現した。
混雑環境において人特有の挙動を表現する「群衆モデル」も開発した。各エージェントに対して、周辺にいる人への追従や衝突回避、空きスペースへのすり抜け、といった行動パターンを精密に表現することで、現実に近い混雑状況を再現した。
一方で、全体の計算量を大幅に削減する工夫も行っている。エージェント間の関係に着目し密度や相対的な動きに基づいて、人の流れに強く影響を与えそうなエージェントのみに計算対象を絞った。これにより計算量を抑えることができたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.