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アナログIPでSoC設計を変える、米新興企業メガチップスと協業(1/2 ページ)

アナログの専門家たちによって2015年に設立された新興企業Omni Design Technologiesは、主にSoC(System on Chip)向けにアナログIP(Intellectual Property)を開発している。その同社とメガチップスが、次世代のアナログプラットフォームの共同開発を行うという。

» 2016年11月18日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

アナログIPの構築

 ASICとシステムインテグレーションに注力する日本のファブレス企業であるメガチップスと、米国シリコンバレー(ミルピタス)に拠点を置くOmni Design Technologies(以下、Omni Design)が、次世代のアナログプラットフォームの共同開発で合意したことが、EE Timesの取材で分かった。

 このアナログプラットフォームを用いることにより、メガチップスの顧客は、電話線、同軸ケーブル、電力線を含む有線ネットワーク用のASICを構築できるようになるという。

 Omni Designは、アナログチップの著名な専門家たちによって2015年に設立された新興企業だ。

 近年、アナログコンポーネントがシステム電源コストに占める割合は徐々に大きくなっていて、パワーバジェットをまさに“食い尽くす”勢いとなっている。そうした中、Omni Designの共同設立者らは、高度に差別化された、超低消費電力のアナログおよびミックスドシグナルIP(Intellectual Property)の構築に狙いを定めた。これらは主にSoC(System on Chip)向けとなっている。

 Omni Designとの戦略的な協業によって、メガチップスは、高度に差異化を図ったアナログモジュールを開発する機会を得た。このモジュールには、Omni Designの高速A-Dコンバーター(ADC)を用いたアナログフロントエンド(AFE)が搭載されている。

 一方のOmni Designにとって、メガチップスとの協定は、自社の超低消費電力、高性能な組み込みIPをアピールする初めての大きなチャンスといえる。

 Omni Designは、同社が特許を有する10〜14ビットのADCを用いると、メガビット/秒からギガビット/秒クラスまで拡張可能なサンプリングレートを実現できる上に、既存技術に比べて大幅な低消費電力化を見込めるとしている。

 メガチップスの通信製品部門でシニアゼネラルマネジャーを務めるMasa Konishi氏は、EE Timesに対し、「われわれは過去数年にわたり、Gulati氏が率いるアナログ技術研究チームの取り組みに注目していた」と語った。

Omni DesignのCEOであるKush Gulati氏

 Gelati氏とは、Omni DesignのCEOであるKush Gulati氏のことだ。Gulati氏は2007年にCambridge Analog Technologies(CAT)を設立した人物である。CATはその後2011年にMaxim Integratedに買収された。

 メガチップスはこれまで、CATやMaximの顧客になったことはない。だが、Konishi氏は「われわれは、Gulati氏の研究チームが開発したアナログIPのライセンス取得については漠然と考えていた」と述べている。

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