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GaNパワー半導体市場で拡大狙うサンケン電気、パウデックを吸収合併高耐圧GaNの製品化を加速(1/2 ページ)

サンケン電気は窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス市場での拡大を狙い、開発を加速している。2025年8月13日には低オン抵抗で高耐圧化が容易な独自GaN技術を有する子会社パウデックの吸収合併をすると発表した。

» 2025年08月21日 10時45分 公開
[永山準EE Times Japan]

 サンケン電気は2025年8月13日、低オン抵抗で高耐圧化が容易な独自の窒化ガリウム(GaN)技術を有する完全子会社パウデックを吸収合併すると発表した。合併は同年10月1日付の予定だ。

 サンケン電気は「パウデックの高度な技術力をさらに向上させるとともに、高耐圧パワーモジュール/パワーデバイス製品とGaNパワーデバイスを組み合わせることで、当社が今後拡大を狙うGaNパワーデバイス市場における競争力を高めていく」と述べている。

1200V、1700V耐圧もカバーする横型PSJ-GaNを開発

 サンケン電気は「2024年中期経営計画」(2024〜2027年度)における新技術領域として、化合物デバイスに注力する要素開発を掲げ、将来に向けた成長にも積極投資を進めていくと表明。社外との協業によるスピードを重視したGaNデバイス開発/量産化を進める方針を示していて、その一環として2025年4月にパウデックを約13億円で買収した。

 パウデックは、低オン抵抗で高耐圧化が容易となる独自のPSJ(Polarization Super Junction)技術に関する特許を多数保持している。サンケン電気は2023年からスタートしたパウデックとの共同開発において、高耐圧横型GaN(横型PSJ-GaN)の実現性を確認し、「早期の製品化、上市を目指すべくパウデックを買収することが、開発スピードの加速に最適と判断した」と説明している。

パウデック買収の目的や、開発をすすめるソリューションについて パウデック買収の目的や、開発をすすめるソリューションについて[クリックで拡大] 出所:サンケン電気の2025年5月の決算説明資料

 サンケン電気はパワーデバイスとして主流の650V耐圧品に加え、1200Vや1700Vの高耐圧GaNも開発していく計画だ。サンケン電気の強みである制御技術によって最適なGaN駆動用ドライバーも開発し、高耐圧GaNと組み合わせた、顧客に使いやすいソリューションとして、パワーモジュール/パワーデバイスを提供することを目指す。

 横型PSJ-GaNでは、まず2026年に小電流領域向けのデバイスを、2028年には中電流領域向けデバイスをそれぞれ量産開始する構想を掲げる。対応アプリケーションは、白物家電や産業機器および一部の車載用途に向けた製品化を目指すとしている。

サンケン電気のGaNデバイス開発〜量産構想 サンケン電気のGaNデバイス開発〜量産構想[クリックで拡大] 出所:サンケン電気の2025年5月の決算説明資料
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