日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、さまざまなセンサー技術や制御技術、通信技術を核にIoT(モノのインターネット)事業を展開していく。新たに発表したSub-1GHzワイヤレスマイコン開発キット「CC1310LaunchPad」は、業界で初めてIoTネットワーク「Sigfox」日本仕様(RCZ 3)の認証を取得した製品となる。
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2016年11月28日、IoT(モノのインターネット)事業戦略について記者説明会を開催した。同社はさまざまなセンサー技術や制御技術、通信技術を核に事業を展開する。新たに発表したSub-1GHzワイヤレスマイコン開発キット「CC1310 LaunchPad」は、業界で初めてIoTネットワーク「Sigfox」日本仕様(RCZ 3)の認証を取得した製品となる。
IoTは、住宅やオフィス、工場、公共インフラ、物流、自動車などさまざまな分野に広がりを見せる。調査会社によれば、2020年には20億個以上のデバイスがインターネットに接続され、約3兆米ドルの市場規模になると予測されている。
こうした中でTIは、「センシング」「システム制御」「コネクティビティ」といった領域にフォーカスして、デバイス事業を展開している。また、主要なクラウド事業会社と協力しながらエコシステムを提供する。現場に設置された無数のセンサーシステムで収集した情報をクラウド側のサーバに伝送し、分析/判断、そして現場の機器を最適制御する用途で、クラウド側とのシステム連携を効率よく行えるようにするためだ。
CC1310 LaunchPadは、920MHz帯の周波数を用いて通信するSigfox日本仕様の認証をボードレベルで取得した。そのまま製品レベルに実装することも可能で、新たなIoTネットワークを容易に実現することができる。開発キットには、ARM Cortex-M3コアや無線機能、センサーコントロールエンジン、最大128kバイトのフラッシュメモリ、DC-DCコンバーターなどを1チップに集積した低消費電力のワイヤレスマイコン「CC1310」が実装されている。開発キットの参考価格は29米ドルである。
日本国内では、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が、Sigfoxネットワークを運営する。このSigfoxネットワークサービスとTI製のCC1310 LaunchPadを活用すれば、ワイヤレスセンサーIoT機器を開発するためのコストや作業時間を、大幅に削減することができるという。メカ設計やデータ処理技術を得意とする企業で、電子回路設計に対する知識や経験が少ない企業でも、開発キットを活用することでセンサーネットワークなどの開発や検証を比較的容易に行うことが可能となる。
これとは別に、IoT開発プラットフォームとして「センサータグ」も用意している。照度、マイク、磁気、温度、湿度、加速度など10種類のセンサーと無線通信機能を実装した製品である。新たに920MHz帯とBLE(Bluetooth Low Energy)に対応する製品「CC1350TSK」を追加した。従来の「CC2650STK」はBLEやZigBee、6LowPANといった、ワイヤレスネットワークに対応していた。現状はまだ、CC1350TSKでSigfoxに対応はしていないという。
同社がサポートする通信技術は、今回のSigfoxや「Wi-Fi」「Wi-SUN」「Bluetooth」「ZigBee」「NFC」といった無線通信技術に加え、「PROFINET」「EtherCAT」「EtherNET/IP」「IO-Link」といった有線通信技術にも幅広く対応している。「クラウド」と「モノ」を最適な通信技術で素早く接続できるよう、主要な業界標準の通信規格に対応したデバイスを提供しているのが同社の特長である。
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