AWR Japanは、「MWE 2016」で、RF/マイクロ波回路設計ソフトウェア「NI AWR設計環境」を用いた「マルチテクノロジーモジュールと増幅器設計」や「5G/レーダー向けフェーズドアレイアンテナ設計」などについて紹介した。
AWR Japanは、「MWE(Microwave Workshops&Exhibition) 2016」(2016年11月30日〜12月2日)で、RF/マイクロ波回路設計ソフトウェア「NI AWR設計環境」を用いた「マルチテクノロジーモジュールと増幅器設計」や「5G/レーダー向けフェーズドアレイアンテナ設計」などについて、デモを交え紹介した。また、アンテナ設計時の初期検討をクラウドベースで行える、アンテナ自動合成用ツール「AntSyn」も紹介した。
高周波モジュールは、MMIC(Monolithic Microwave IC)を用いたパワーアンプ(PA)モジュールや、LTCC(低温同時焼成セラミックス)多層基板あるいはSAW/BAW共振子を用いたフィルターモジュールなど、プロセス技術が異なる部品を用いて回路を構成することが多い。このため、部品/個別モジュールごとの回路/レイアウト設計およびその評価に加えて、これらを組み立てた高周波モジュールとしての相互影響や特性ばらつきなどを解析/評価することが重要となる。
NI AWR設計環境は、MMICから機能モジュール、回路基板まで、あらゆる高周波回路の設計を支援する統合環境である。展示ブースでは、RFスイッチやLNA(Low Noise Amplifier)、PA、フィルターなどを集積した「フロントエンドモジュール」などの設計事例を紹介した。
特に、高周波モジュールの設計工程では、より少ない工程でモジュールの組み立てを完了することができるという。例えば、MMICと基板のサブ回路ブロック同士を、画面に表示された回路図上で接続するだけで、レイアウトの合成が完了する。また、端子間はボンディングワイヤーエレメントを用いて接続する。MMICとボンディングワイヤーのレイアウト調整や、ワイヤー長あるいは形状についても、ツール上で最適化することができる。そして、ボンディングワイヤーのランドや、MMICと基板のグラウンドを接続するための金属を描画すれば、回路図とレイアウトが完了する。
さらに、レイアウトから電磁界(EM)構造を自動抽出することができ、EM解析結果は回路図へ自動的にフィードバックされる。「ユーザーの中には、『NI AWR設計環境を利用することで、フロントエンドモジュールの開発期間は、初期設計からプロトタイプ品試作まで10日間で済んだ。他社製ツールに比べて開発期間を半分に短縮できた』という報告もある」(説明員)と話す。
NI AWR設計環境では、増幅器設計の向けたロードプル解析機能もさらに強化した。これまでは事前に測定項目を定義して、限られた測定条件で解析し、その結果を検証していた。このため、測定項目の追加や測定条件を変更は、その都度行わなければならなかった。
機能が大幅に改良されたロードプル解析では、一度の解析で複数のパラメーターをスィープすることが可能となった。このため、より多くのデータを効率よく取得することができる。多くの解析結果に基づき、さまざまな方向から出力電力やPAE(電力負荷効率)などを検討することが可能となり、適切な特性を得ることが容易となった。ACPRやEVMの測定など、システムシミュレーションとも連携することができるという。
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