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銅配線プロセスとメタルハードマスクで新技術SEMICON Japan直前取材(1/2 ページ)

アルバックは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、マルチチャンバー型スパッタリング装置として、メインプラットフォーム向け「ENTRON-EX W300」や、小規模量産ライン向け「MLX-3000N」などを紹介する。

» 2016年12月12日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

成膜装置から材料まで総合的に展開

 アルバックは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)において、最先端の成膜・配線形成装置から真空コンポーネント、薄膜計測機器、ターゲット材料まで、半導体デバイスの製造にかかわる製品を総合的に展開する。ブースではグループ会社が行っている既存装置の機能強化や改善に向けたサービス、中古装置販売といった取り組みなどについても紹介する。

 同社ブースは前工程ゾーンにあるが、IoTに焦点を当てた展示「WORLD OF IOT」に近い場所となっている。同社が提供する半導体デバイスの製造に関わるさまざまな製品や技術が、IoT社会の実現を下支えしていることを来場者に広くアピールする狙いがある。

ENTRON-EX W300 (クリックで拡大)

 SEMICON Japan 2016における、同社の注力製品の1つはメインプラットフォーム向けマルチチャンバー型スパッタリング装置「ENTRON-EX W300」である。最先端のメモリ製品やロジックICの製造プロセス技術に対応するプラットフォームとなる。最新モデルは、従来モデルに比べて成膜処理能力を10%以上も向上するなど、クラス最高レベルのスループットを達成している。消費電力を低減する機能も標準で搭載しており、従来に比べて約30%の節減を可能とした。また、プロセスモジュールの構成は、新たな成膜技術にも柔軟に対応可能な拡張性を持たせている。

 ENTRON-EX W300には、独自に開発した新技術を搭載した。その1つが、銅(Cu)配線プロセスにおける新たな技術である。微細溝に対する埋め込み技術が限界を迎えている中、同社は均一にスパッタ粒子を成膜できる技術を開発した。

松竹貴幸氏

 アルバックの半導体装置事業部でプロダクトマネジャーを務める松竹貴幸氏は、「この技術は、本来450mmウエハーを用いたプロセス装置向けに開発した技術で、既に実機による評価も行っている。同技術を300mmウエハー対応の現行装置に適用した」と話す。

 銅配線プロセスにおける微小溝への埋め込み技術は、チャンバー内に設置するウエハー基板とスパッタリングターゲット材の取り付け位置を工夫した。従来は互いの中心点を合わせて取り付けていた。そうすると、ウエハーの中心部と外周部でスパッタ粒子の成膜に、膜厚などのばらつきが生じることもあった。

 これに対して新技術は、あえてウエハーとターゲット材の中心部を少しずらして取り付けた。これにより「ウエハーの中心部と外周部にある微細溝において、ばらつきの少ない均一なカバレッジ(被覆性)を実現することができた」(松竹氏)という。

 もう1つの技術は、加工用メタルハードマスク技術である。既に一部の装置で実用化されている技術だが、同社の技術は運用面で優位性があるという。加工用メタルハードマスクを作製するには、膜内部の均一性、極めて理論値に近い密度を達成するための制御技術、そしてストレスの制御技術などが重要となる。同社の特長は、チャンバー装置を変更することなく、プロセス条件を変えるだけでストレス条件を変更できる点だ。メンテナンスやスペアパーツの確保といった面でも有用となる。従来装置だと、ストレス条件を変更するごとにチャンバー装置を変更する必要があったという。

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