インテルは2016年12月9日、米国で開催した人工知能(AI)に関するイベント「AI Day」で発表した内容をもとに、AI事業に向けた戦略について説明会を開催した。2016年8月に買収したNervana Systemsの技術をベースとしたAI製品群を展開し、2020年にマシンラーニング(機械学習)における時間を現行の最速ソリューションと比較して100分の1に短縮することを目指す。
インテルは2016年12月9日、米国で開催した人工知能(AI)に関するイベント「AI Day」で発表した内容をもとに、AI事業に向けた戦略について説明会を開催した。
同社アジアパシフィック・ジャパン担当HPCディレクターの根岸史季氏は、まずAIの分類について説明する。AIという大きな枠組みの中には、マシンラーニング(機械学習)と推論システムという手法がある。昨今、技術に著しく進歩しているのは、マシンラーニングの中におけるディープラーニングという。
根岸氏は「これまで“人工知能が成し得るであろう”と思われていたことが現実になろうとしている。例えばGoogleのAI『DeepMind』が、これまでゲーム理論上で人間に勝つことが難しいとされてきた囲碁で、プロフェッショナルな棋士に勝つことができた。ディープラーニングの目覚ましい進化によって、成し遂げたといえる」と語る。
ディープラーニングは従来型のマシンラーニングとアプローチが違い、対象物に対して複数の抽象化レベルで特徴を抽出する方法となっている。データを処理するほど類似するデータを自動的に分類し、高度な関連付け、意味付けを実現可能とする。
「ディープラーニングがすごいのは、ある分野で人間の能力を上回る認識が出きていることである。例えば、画像認識や音声認識などが挙げられる」(根岸氏)
しかし、根岸氏によるとディープラーニングには幾つかの課題があるという。
1つ目は、パフォーマンスがデータ量に応じて変化することだ。どれだけデータを学習をさせたかによって認識率が変わるため、大量のデータが必要になる。
2つ目は、ディープラーニングに用いるニューラルネットワークを作るためには、多大な計算処理が必要になることである。Baidu Researchの調査によると、1モデルの学習処理は10EFLOPS(浮動小数点演算を1秒間に100京回)に及ぶそうだ。根岸氏は、多大な計算処理を行うために重要なのは「スケーラビリティ」と指摘する。
ディープラーニングのシステムは、大量のデータを移動するコストが高く、I/Oがボトルネックとなりやすい。スケーラビリティが悪いシステムでは、いくらプロセッサを増やして並列処理を行ったとしても、学習効率は上がらなくなるという。そこで、同社がAI事業で戦略的に進めるのが「Nervanaプラットフォーム」である。
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