2016年も収まらなかった半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこでEE Times Japanは、半導体各社トップへのインタビュー企画を進めている。今回は、ルネサスイーストン社長の石井仁氏に聞いた。
2016年になっても収まらなかった、半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐――。
ソフトバンクによるARM買収を始め、Analog DevicesによるLinear Technology買収、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収など、業界を揺るがす話題が相次いでいる。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。
EE Times Japanは「業界再編の波に、半導体商社はどう立ち向かうのか」と題して、各社トップへのインタビューを進めている。今回は中期経営計画「Project “C”」で、2018年度売上高900億円を掲げるルネサスイーストン社長の石井仁氏に聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) 直近の業績について教えてください。
石井仁氏(以下、石井氏) 2016年度上半期の売り上げは、残念ながら前年同期比6.2%減となる372億5800万円となった。しかし、他企業と比べて減収の幅を抑えられた。円高による為替の影響で海外が足を引っ張った形となっているが、非常に健闘したと考えている。為替の影響がなければ、海外は増収だっただろう。特に、中国でロボットや自動車関連、半導体製造装置などが大きく伸びている。
EETJ 2016年度全体ではどのような状況ですか?
石井氏 売上高800億円を達成し、増収増益を目指していく。2016年度第3四半期の売上高は200億円を目標に掲げた。目標達成は微妙だが、上半期よりも好調に推移している。第4四半期をどこまで伸ばすことができるかが800億円達成の鍵となる。
EETJ 売り上げでルネサス エレクトロニクス製品が占める割合は。
石井氏 全体の8割弱を占める。今後もADAS(先進運転支援システム)などの車載分野と、IoTをはじめとした産業機器分野で重点的に拡販を進める。これまでのデザインインとしては、車載情報システム向けSoC「R-Carシリーズ」を活用した車車間(V2X)通信システム、「R-INエンジン」を活用したインダストリ4.0システムなどが挙げられる。
EETJ 今後もルネサス製品の割合は維持するイメージでしょうか。
石井氏 2016年度の売上高計画では、2015年度実績の629億円から614億円に減少すると見込んでいる。ルネサスが実施した構造改革の影響が出ているためだ。2018年度までの中期経営計画としては、ほぼ横ばいか微増で推移していくと考えている。
EETJ 売り上げ拡大は、どの分野が担うのでしょうか。
石井氏 新規事業として注力しているのが「CSB:Customer Satisfaction Business」となる。「半導体」「パーツ」「光」「表示」「EMS(電子機器受託製造サービス)」「開発他」の6つのカテゴリーに分かれており、表示のパネル系が大きく伸びている。2016年度上半期のCSB売上高は60億円、下期は87億円になる見込みだ。
センサーや無線モジュールなどIoT関連製品の新規商材獲得、ソリューションの提案力強化にも力を入れている。例えば、環境発電技術が特長の無線規格「EnOcean」を応用したソリューションは、老人ホームの見守りシステムでデザインインを獲得した。2018年度には、IoT関連製品として40〜50億円程度の売り上げまで向上するだろう。
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