Xilinx(ザイリンクス)は、RFクラスのアナログ技術を統合した「All Programmable RFSoC」について、その技術概要を発表した。
Xilinx(ザイリンクス)は2017年2月、RFクラスのアナログ技術を統合した「All Programmable RFSoC」の要素技術について、その概要を発表した。5G Massive MIMO無線システムやミリ波無線バックホールにおいて、消費電力とフットプリントを従来に比べて50〜75%も削減できるという。
All Programmable RFSoCは、TSMCの16nm FinFETプロセスを用いた「All Programmable MPSoC」をベースとしている。これに、サンプリングレートが最大4Gサンプル/秒で分解能が12ビットのA-Dコンバーターや、同じく最大6.4Gサンプル/秒で14ビットのD-Aコンバーターなど、ダイレクトRFサンプリングを可能とするRFアナログ回路ブロックを新たに集積した。新たなプロセス技術は追加していないという。
All Programmable RFSoCを用いると、入力/出力RF信号をダイレクトにサンプリングできるため、従来のIF(中間周波数)サンプリングシステムで用いていたミキサーやオシレーターといったアナログ部品を削減することができる。
また、ダイレクトRFサンプリング回路はこれまで、データコンバーターとDSPベースのミキサー&フィルターで構成されているのが一般的だ。このデバイス間の信号伝送には、JESD204B/Cプロトコルに基づく高速シリアルインタフェースが採用されている。このため、インタフェース部の設計負荷や電力消費の増大などが課題となっていた。
これらの課題に対してAll Programmable RFSoCは、データコンバーターをワンチップに集積したことで、JESD204B IPコアとシリアルトランシーバーが不要となり、設計の期間短縮を可能とした。消費電力も大きく削減することができるという。標準的な受信4本、送信4本のアンテナ構成だと、データコンバーターを外部に接続した場合に比べて電力消費は約40%も削減することができる。8×8のシステムだと従来システムで55Wとなる。これに対してRFSoCを用いると27Wで済み、半分以下に削減することが可能だという。
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