「MWC 2017」で、スマートフォン向けアプリケーションプロセッサを手掛けるQualcommやSamsung Electronics、MediaTekといった主要サプライヤーの最新製品を見ていると、Appleの次期「iPhone」に搭載される可能性が高い技術が見えてくる。
スマートフォン向けチップの大手サプライヤーであるQualcomm、Samsung Electronics、MediaTekはそれぞれ、2017年2月27日から3月2日までスペイン・バルセロナで開催されている「Mobile World Congress(MWC) 2017」で、次世代スマートフォン向けの高度なモデムとアプリケーションプロセッサを新たに披露した。
Appleは「iPhone」の発表10周年となる2017年に、「iPhone 8」(仮称)の発売を予定しているが、もちろんまだ詳細は何一つ明らかになっていない。だが、MWCで発表された新たな技術から探ると、iPhone 8に期待できることがいくつか見えてくる。
その1つが10nmプロセス技術だ。同プロセスは、Qualcomm、Samsung、MediaTekが発表したチップ全てに共通して採用されている。その他、通信速度を下り/上りともに高速化する最先端LTEモデム(この分野はQualcommがけん引している)が挙げられる。
iPhone 8には、OLED(有機ELディスプレイ)から顔認識機能付きフロントカメラ、赤外線送受信機能まで、幅広い機能が搭載されるとみられている。とはいえ、現実的にはAppleでさえも、未来のiPhoneへと一気に飛躍するのではなく、新たな付加機能を徐々に増やしていくことになるだろう。
MediaTekのコーポレートセールス(インターナショナル)部門でゼネラルマネジャーを務めるFinbarr Moynihan氏は、EE Timesの取材に対し、スマートフォン市場は成熟しつつあると語った。最終製品の機能に大きな差異を見つけることはますます難しくなっているものの、スマートフォン向けSoC(System on Chip)の設計者は、より優れた性能を実現し続けている。
Tirias Researchの主席アナリストであるJim McGregor氏は、成熟しつつあるスマートフォンにおける主な差異化要因について問われると、モデムスピードとマルチメディア性能(GPU、ISP、VPUなど)を挙げた。
McGregor氏によると、マルチメディア機能は、コンピューテーショナルフォトグラフィーやAI(自然言語処理や画像認識)のようなアプリケーション向けのARやVR、GPUコンピューディングといった最新のアプリケーションに不可欠であるという。
さらにMcGregor氏は、複数のベンダーから同一の部品を調達するというAppleの戦略によって、モデム性能は欠かせない要素になってきていると付け加えた。同氏は「モデム性能は上り/下りのデータ速度だけでなく、接続性の信頼度、通話音声の鮮明さにも影響する」と述べた。
MWCで発表された新しい3種類のスマートフォンチップの概要を以下に伝える。
QualcommはLTEモデム「Snapdragon X20」を発表した。同社がモデム技術での優位性を活用する計画なのは明らかだ。同チップはQualcommのギガビットLTEモデムの第2世代品で、LTEカテゴリー18に対応しており、下りで最大1.2Gビット/秒(Gbps)の通信速度を実現するという。X20はSamsungの10nm FinFETプロセスを適用していて、同プロセスを初めて用いたモデムでもある。
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