ここからは後半になります。この連載の後半は、「私の身の回りの出来事」を使った、「数式ゼロ」のAI解説になります。
今回は、機械学習と、その中の1つである帰納学習法を使ったAI技術である「バージョン空間法」についてお話します。
「『バージョン空間法』が“人工知能”なのかどうか」については、今回も『江端AIドクトリン』に基づいて私が勝手に判定しました
最初に、「機械学習」について解説します。
この「機械学習」なるものも、「人工知能」と同様に、きっちとした定義がある訳ではないようで、『なんかスゴそう』という感じはしますが、結局のところは、『昔の何かを使って、何かをする』という程度の理解で問題ありません。
もう1つ特徴を挙げるとすると、「機械学習」は、その『昔の何か』を後発的に次々と追加していける仕組みが備わっている、ということです。つまり、使えば使うほど、お利口さんになっていく、ということもいえるかもしれません(逆に、使えば使うほど、使えない奴になる、というケースもあります(何度も目にしました))。
私なりに「機械学習」をまとめてみたものが、以下の表です。
上の表に示した学習方法は、私たち人間が日常的に当たり前に行っている学習なのですが、こうした当たり前のことをコンピュータに実行させるのは恐しく難しいのです。
まず、このような知識をどのように分解するかが難しく、どのように格納しておくのかが難しい。さらに、分解した知識をどのように関連づけるかが難しく、そこからどのように組合わせて結論を出すのかも、絶望的に難しいのです。
コンピュータを「超高速の電卓」のままにしておけばよかったものを、人類は「この『電卓』を使えば、人間と同じものが作れるに違いない」と勝手に信じ込み、先ほど述べた「AIへの“ゆがんだ”期待」も同時に発生した訳です*)。
*)そろばんも電卓もコンピュータもメカニズムは基本的に同じ(10進数の代わりに2進数を使っていることと、そろばんの「願いましては……」で始める読み手の代わりをプログラムがやっているだけの違い)なのに、「そろばんが人類を滅ぼす」とは、誰も言いません。
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