激しい合併買収の波が押し寄せている半導体業界では、これまで以上に多くの半導体メーカーが“パテント・トロール(特許トロール)”のターゲットとして狙われるという、予期せぬ事態が生じている。
フランスの市場調査会社であるYole Développementでプレジデント兼CEOを務めるJean-Christoph Eloy氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「半導体市場では、特許ライセンス企業(PLC:Patent Licensing Companies)にとって魅力的な、あらゆる材料が具現化されている」と述べている。
PLCはしばしば、特許不実施主体(NPE:Non-Practicing Entity)と呼ばれたり、皮肉を込めて“パテント・トロール”とされる場合もある。Eloy氏は、「いずれも市場向け製品は製造せず、特許をライセンス供与したり、特許権を侵害する疑いのある企業に対して訴訟を起こしたりすることによって、収益を得る企業だ」と説明する。
同氏は、「近年、半導体メーカーが危機にさらされやすい状態になっている。半導体業界において数々のM&Aが行われ、企業統合の傾向が強まっていることから、大量の特許が売りに出される傾向にあるからだ」と主張する。
Eloy氏は今回、Yole Développementの姉妹企業であるKnowMadeが実施した調査を基に、主な調査結果を明らかにした。半導体市場における主要なパテント・トロールの存在を特定したり、2013〜2016年に特許を取得した特許ライセンス企業による訴訟リスクについて評価する他、特許ライセンス企業が2013年以降に取得した、特定の特許技術などを取り上げている。
KnowMadeのデータによると、半導体市場では2013〜2016年に、40社以上のNPEが米国特許を取得しているという。このようなNPEとしては、WiLANやTessera Technologies、Intellectual Ventures、Conversant IP managementなどが挙げられる。
この中でも目立つのが、カナダのWiLANだ。同社は2015年に、主にInfineon Technologiesや旧Freescale Semiconductorなどの企業から、計2048個の米国特許を取得したという。
WiLANは、FreescaleやInfineonから特許を取得した年と同じ2015年に、訴訟を開始した。Yole Développementの予測によると、今後数年間は、このような特許訴訟を続けるとみられる。
Eloy氏によれば、米国カリフォルニア州ニューポートビーチに拠点を置くAcacia Research Corporationは、取得している半導体関連の特許数は比較的少ないものの、特許訴訟の件数が最多だったという。
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