Intelは2017年に10nmチップ製造を開始する予定だ。さらに、22nmの低電力FinFET(FinFET low power、以下22nm FFL)プロセスも発表した。GLOBALFOUNDRIESなどが手掛けるFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)に真っ向から挑み、ファウンドリービジネスで競い合う。
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Intelは10nmプロセスで、1mm2当たり1億80万個のトランジスタを詰め込む計画である。既にリスク量産が始まっているTSMCやSamsung Electronicsの10nmプロセスのトランジスタ密度はその約半分だという。
トランジスタ密度を計算するIntelの指標は、小型および大規模なロジックセルの密度を平均化したものである。具体的には、同社は2個のアクティブゲートを備えた2入力のNANDセルと、25個のアクティブゲートを備えたスキャンフリップフロップセルを用いている。
Intelのシニアフェローで、プロセスアーキテクチャおよび統合部門のディレクターを務めるMark Bohr氏は「当社の指標は包括的かつ定量的である上に公正さも備えている」と述べた。
現在のプロセスノードは、実際の長さというよりは「ノード間の相対的な進歩」を示しているようなものだ。
指標がどのようなものでも、Intelは14nmプロセスに移行してから3年目となる2017年後半に、10nmプロセスを適用する次世代プロセッサ「Canon Lake」の製造を開始する計画だ。同社は次のノードに3年で移行するというペースを維持することを望んでいるが、10nmプロセスでは1年目と2年目にもアップグレードを予定している。同プロセスは1年目のアップグレード後は「10+」、2年目は「10++」と呼ばれるようになるという。
ただ、実は、初期の10nmプロセスよりもIntelの「14++」プロセスの方が高い性能を備えている。とはいえ、10nmプロセスは、より低い消費電力と、より高いトランジスタ密度を実現している。
Intelは10nmノードについて、いつもよりも詳細を明らかにしている。ファウンドリービジネスで競合するTSMCとSamsungが既に10nmプロセスを始動させていることから、Intelは、同プロセスにおける優位性をより積極的に示す必要があったのだろう。
Intelの10nmプロセスは、フィンピッチが34nm、フィンの高さが53nm、メタルピッチは最小で36nm、セル高さは272nm、ゲートピッチは54nmとなっている。
アナリストらはIntelの10nmプロセスに感銘を受けたようだが、競合に対する優位性があると判断する基準としてトランジスタ密度が最適なのかどうかについては、意見が分かれた。プロセスが28nmから16nmや14nmに進むにつれて、競争は激しさを増すばかりである。そうした状況の中で、どこがけん引するのかについては、現段階ではまだ何ともいえないようだ。
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