日置電機の「GENNECT Remote Basic(ジェネクト・リモート・ベーシック)」は、計測器の測定値を、遠隔地からクラウド経由でモニタリングできるサービスだ。「現場まで行かずとも測定値を確認したい」というニーズは強いものの、実際にそのようなシステムを構築するのは難しい。GENNECT Remote Basicは、その障壁を取り除く鍵となるかもしれない。
日置電機は2017年4月25日、計測器の情報を遠隔でモニタリングできる「GENNECT Remote Basic(ジェネクト・リモート・ベーシック)」を発表した。遠隔地に設置した計測器の測定値を、クラウドサーバを介してPCやスマートフォンで確認できるサービスだ。同年5月に発売する。
測定器やセンサーのデータはゲートウェイに送信され、3G(第3世代移動通信)の携帯電話回線でクラウドにアップされる。これらのデータはWebブラウザ上で確認できるので、インターネットに接続したPCやスマートフォンがあれば、いつでもどこでもデータを確認できる。あらかじめ設定した閾(しきい)値を超えた場合にメールでアラートを送信するといったことも可能だ。測定値を1分間隔で記録し、CSV形式で出力したり、複数のゲートウェイに送られた測定値を一元管理したりする「遠隔ロギング機能」も備えている。
GENNECT Remote Basicの最大の特徴は、測定値の遠隔モニタリングに必要な「ゲートウェイ」「携帯電話回線」「クラウド」の要素を全て、日置電機がパッケージとして提供する点である。個々の要素としては、アットマークテクノのゲートウェイ、ユニアデックスのクラウドプラットフォーム、ソラコムの携帯電話回線を採用している。ソラコムは、NTTドコモの回線を利用したMVNO(仮想移動体通信事業者)である。
ソラコムの閉域ネットワークを利用し、クラウドにデータを転送する際は暗号化する。クラウドにはWebブラウザからアクセスするが、その際も通信は全て暗号化する。日置電機の技術2部 技術9課長を務める降旗佳範氏は、「GENNECT Remote Basicは、社内LANとは完全に隔離されたネットワークになるので、高い安全性を実現できる」と説明する。「市場調査を重ねて分かってきたことだが、(GENNECT Remote Basicを使う際に)社内LANに接続する必要がない、という点が高く評価されているようだ」(同氏)
GENNECT Remote Basicのスターターセット「SF4101」に含まれるのは、SIMカードを搭載したゲートウェイ、ACアダプター、LANケーブル。これだけである。これらを計測器に接続して電源を入れれば、わずか5分足らずでセットアップが完了する。
スターターセットの価格は、クラウドの使用料1カ月分が付いて、9万9800円(税別)。クラウド使用料は1カ月分が5800円で、12カ月分が6万8000円である(いずれも税別)。
GENNECT Remote Basicに対応する測定器は、現時点でロガーや電力アナライザーなど5種類*)だ。対応機種は順次、追加していく。1台のゲートウェイには最大32チャンネルを接続できる。ゲートウェイのLANポートは1個だが、ハブを使えば8台まで接続が可能だ。4チャンネルの機器を8台接続する(4チャンネル×8台=32チャンネル)といった具合だ。ゲートウェイは追加できるので、2台使えば64チャンネルまで接続できる。
*)メモリハイロガー「LR8400」「LR8401」「LR8402」、ワイヤレスロギングステーション「LR8410」、ワイヤレス熱流ロガー「LR8416」、電源品質アナライザー「PQ3100」、クランプオンパワーロガー「PW3360-10」「同11」「PW3365-10」である。
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