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ラティス、28nm FD-SOIのFPGA開発を決断IoTエッジ市場に注力(1/2 ページ)

Lattice Semiconductor(ラティスセミコンダクター)は、IoT(モノのインターネット)エッジ市場に向けた製品展開や事業の方向性を示す中で、28nm完全空乏型SOI(FD-SOI)技術を用いたFPGAのサンプル出荷を2018年中に行う計画であることを明らかにした。

» 2017年05月22日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

モバイル向けコア技術をIoTエッジ用途にも展開

 Lattice Semiconductor(ラティスセミコンダクター)は2017年5月19日、IoT(モノのインターネット)エッジ市場に向けた今後の製品展開などについて、東京都内で記者説明会を行った。この中で、28nm完全空乏型SOI(FD-SOI)技術を用いたFPGAを、2018年よりサンプル出荷する計画などを明らかにした。

社長兼CEOを務めるDarin G.Billerbeck氏

 同社は、消費電力が極めて小さいFPGA製品や、ビデオ接続向けpASSP/ASSP製品、60GHz帯ミリ波デバイスなどを開発、供給している。同社の社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるDarin G.Billerbeck氏は、「2012年に当社のポジションを明確にし、エッジ製品に向けた半導体デバイスの事業を展開してきた」と話す。データセンター向け装置などを主な事業対象とする競合のFPGAベンダーとは一線を画す。

 エッジ製品とは、「スマートシティ」や「スマートホーム」「スマートファクトリー」「スマートカー」などを実現するための機器やシステムである。例えば、スマートカーではサラウンドビューカメラや白線検知、衝突防止向けシステムなどを指す。スマートシティではドローンやスマートグリッド、交通監視カメラなどである。スマートファクトリーではマシンビジョン、ロボティクスなどがある。

ラティスがフォーカスするエッジアプリケーションの一例 (クリックで拡大) 出典:ラティスセミコンダクター

 エッジ機器向けの次世代ICを開発していく上で、同社が採用を決めたのがFD-SOI技術である。Billerbeck氏は、「競合のFPGAベンダーは、ロジックの規模と性能を追求するために、FinFET技術を採用している。エッジ市場にフォーカスしている当社はFD-SOI技術を選択した。コストを考慮したロジック規模と性能を実現しつつ、FPGAの消費電力も最適化できる」のが理由だ。

28nmFD-SOIプロセスのFPGA製品は、性能や電力効率を大きく改善できる (クリックで拡大) 出典:ラティスセミコンダクター

 同社の試算によれば、28nmFD-SOIプロセスのFPGA製品は、同じプロセスのバルク製品と演算性能がほぼ同等で、従来の40nmFPGAに比べると8倍も高速である。ところが、電力効率を比べると、その差は大きい。28nmFD-SOI製品は、同じプロセスのバルク製品に比べて10倍、40nmFPGA製品に比べると100倍も改善されることが分かった。Billerbeck氏によれば、「FD-SOIプロセスのFPGA製品は2018年中にサンプル出荷を始める。製造はサムスンの工場で行う」ことになっている。

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