さらに、伝導度の高いLi2S-LiCl、Li2S-LiBr、Li2S-LiI固溶体と固体電解質を組み合わせた正極を全固体電池に適用して、その充放電特性を測定した。この結果、Li2S-LiI固溶体の可逆容量が最も大きかった。Li2S単体と比べて容量は2倍を超えており、Li2Sの理論容量と同等の容量で動作することが分かった。
研究チームは、Li2Sベース固溶体と硫化物固体電解質を組み合わせた正極を用いて、充放電を長期繰り返す試験も行った。これまでのLi2S正極だと、1000〜1500サイクル後の容量は初期容量に比べて30〜60%も下がっていた。これに対し新たに開発した正極は、充放電を2000回繰り返しても容量の劣化は見受けられず、安定に動作することが分かった。
研究チームは今後、正極層の厚膜化や、軽量化に向けた固体電解質層の薄膜作製、高エネルギー密度の負極材料開発などを行っていく。これらを組み合わせることで、よりエネルギー密度が高い全固体リチウム−硫黄二次電池の早期実用化を目指す。
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