コネクテッドカー市場に注力するu-blox(ユーブロックス)は、次世代のV2X(Vehicle to everything)モジュールやGNSS(全地球航法衛星システム)モジュールの開発を進めている。u-bloxの共同創設者であるDaniel Ammann氏は、レベル4の自動運転車からGNSSが必須になり、それに伴ってGNSSレシーバーは機能安全対応が求められるようになると説明する。
2017年に創立20周年を迎えたu-blox(ユーブロックス)は、本社のあるスイス・タルウィル(Thalwil)にアジアの複数のメディアを招き、同年6月13〜14日にかけて記者説明会を行った。
u-bloxの注力分野の1つはIoT(モノのインターネット)で、その中でも「コネクテッドカー」「コネクテッドシティー」「コネクテッドインダストリー」「コネクテッドコンシューマー」の4つが重点市場となっている。
上記のうち、今回の記者説明会でu-bloxが多くの時間を割いたテーマがコネクテッドカーだ。u-bloxの共同創設者でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるDaniel Ammann氏と、V2X(Vehicle to everything) Product Strategyのディレクターを務めるCostas Meimetis氏が、それぞれコネクテッドカーに必要とされるGNSS(全地球航法衛星システム)モジュールやV2Xモジュールを紹介した。
Meimetis氏は、「u-bloxは、コネクテッドカーに必要なさまざまな接続技術をカバーするモジュールのラインアップをそろえている」と強調する。具体的には、GNSSや、LTEをはじめとするセルラーネットワーク、BluetoothやWi-Fi、V2Xだ。
u-bloxの共同創設者でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるDaniel Ammann氏は、「自動運転車では、レベル4*)からGNSSセンサーが必須になる」と強調する。
*)レベル4:一部の走行状況を除き、全ての運転を自動で行える。完全な自動運転の一歩手前。
「自動運転レベル0〜3までは、メートルレベルの精度の位置情報でも事足りるが、レベル4以上ではそうはいかない。センチメートルの精度が必要になる。現時点では、GNSSセンサーは、極めて正確な位置情報を提供できる唯一のセンサーだ。これをカメラやレーダー、ライダー(レーザーレーダー)と組み合わせることで、高度なV2X通信や自動運転を実現できるだろう」(Ammann氏)
GNSSモジュールは、u-bloxが最も得意とする技術の1つだ。チップも全て自社で開発している。u-bloxの既存のGNSSモジュール製品群では、測位エンジンプラットフォーム「M8」を採用したものが最新となっているが、u-bloxは現在、次世代のプラットフォームを開発中だ。Ammann氏によれば、次世代のGNSSモジュールは、マルチGNSS受信、マルチバンド受信、3次元(3D)自動車用推測航法、SSR(State Space Representation)補正データの使用という4つのコア技術を融合したものになるという。次世代品は、早ければ2017年内にも発表する予定だ。
Ammann氏は、「自動運転車向けのGNSSモジュールは今後、機能安全への対応が求められるようになるだろう」と述べる。「航空機向けのGNSSレシーバーでは、機能安全規格『ISO 26262』に対応した製品があるが、これらは大型で高価だ。自動運転車向けのGNSSモジュールで、機能安全に対応したものは現時点ではない」(同氏)。Ammann氏は、自動運転時代には、ISO 26262に準拠した小型で安価なGNSSモジュールが必須になるだろうと強調した。
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