今回と次回で、強誘電体不揮発性メモリ(FeRAM)の研究開発の歴史を振り返っていく。FeRAMの歴史は年代順に初期、中期、後期の3つに分けることができる。前編となる今回は、FeRAMが初めて提案された1952年から始まった初期の歴史を紹介したい。
前回と前々回は、代表的な強誘電体(ferroelectric materials)材料を前後編で紹介した。今回と次回は、強誘電体不揮発性メモリ(FeRAM)の研究開発の歴史を簡単に振り返っていこう。
強誘電体メモリ研究の歴史は年代順に、初期、中期、後期に分けることができる。各期のメモリ技術はかなり違うので、初期に研究されたメモリ技術を第1世代、中期の技術を第2世代、後期を第3世代と区別することも可能だ。
初期、すなわち第1世代の強誘電体不揮発性メモリは1950年代前半に研究が始まった。強誘電体材料を絶縁膜とするキャパシターを記憶素子としており、メモリセルアレイはキャパシターをクロスポイント構造に配列していた。採用された材料は主に、チタン酸バリウム(BaTiO3)である。
第2世代の強誘電体不揮発性メモリは、1980年代〜1990年代に研究開発が非常に活発になった。1990年代には小容量の不揮発性メモリから製品化が始まる。そして容量の拡大と密度の向上が進んだ。製品のメモリセルは、2個のトランジスタと2個の強誘電体キャパシターで構成した。製品化された材料はPZTとSBTである。
第3世代の強誘電体不揮発性メモリは、2010年代後半、つまり、今まさに研究開発が活発になり始めた。材料はハフニウム酸化物である。メモリセルには1個のトランジスタと1個の強誘電体キャパシターで構成するタイプと、1個の強誘電体トランジスタで構成するタイプがある。前者のメモリセルを導入した小容量の不揮発性メモリが、既に試作されている。
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