業界団体eBeam Initiativeの調査によると、EUV(極端紫外線)リソグラフィの実用化に対する業界の見方は、だいぶ前向きになっているようだ。
業界団体eBeam Initiativeは2017年9月11日(米国時間)、同年夏に実施した調査の結果を発表した。それによると、半導体チップメーカーの経営幹部たちは、「半導体業界は今後、EUV(極端紫外線)リソグラフィとマルチビームマスクライターを導入する方向に進んでいく」とする、楽観的な見方を強めていることが明らかになった。現在、最先端デバイスの製造は、複雑化と高コスト化の一途にあるが、新たなシステムの導入により、さらなる技術進展を実現できると期待されている。
半導体業界の指導者たち75人を対象とした調査の結果によると、「EUVは2021年までに、量産に適用されるようになる」とする回答の割合が、全体の75%に達したという。また、「EUVが導入されることは絶対にない」とする回答は、2014年当時の調査では35%と高く、2016年には6%だったが、今回はわずか1%にまで減少した。
業界のベテランで、業界団体eBeam Initiativeの広報担当者を務めるAki Fujimura氏は、「EUVは今後数年以内に、7nmプロセスを皮切りに、確実に導入されていく見込みだ」と述べている。
IntelとSamsung Electronics、TSMCはこれまで、EUVリソグラフィ装置メーカーであるASMLに、数十億米ドル規模の投資を行ってきた。ASMLは2013年に、リソグラフィ光源技術を手掛けるCymerを買収し、複雑かつ高コストの技術の推進に取り組んできた。Fujimura氏は、「ここ数年の間に、7nmおよび5nmプロセスの開発状況がひどく悪化したため、ついに誰もが、『この開発がうまくいかなければ、業界全体が苦境に陥ることになるだろう』と声を上げるようになった」と述べる。同氏は現在、マスク欠陥の修正を加速するためにGPUを使用したシステムの開発を手掛けるメーカーD2Sにおいて、チーフエグゼクティブを務めている。
EUVへの移行は、決して簡単ではない。半導体メーカーは、まず既存の液浸ステッパーを使用して7nmプロセスを適用してから、一部のステップをEUVに移行させることにより、マルチパターニングの必要性を排除していく考えのようだ。
Fujimura氏は、「これまでにない新技術であるEUVは、それをサポートするための装置やエコシステムに多額の投資を行う必要がある。EUVの導入は、徐々に進めなければならないため、直ちに最善の成果を求めることはできない」と指摘する。同氏にとってD2Sは、3社目の新興企業となる。それ以前は、1979年以降、Cadence Design SystemsをはじめEDA業界に身を置いてきた。
マスクメーカーが過去12カ月間に製造したEUVマスク数は1041枚で、その1年前の382枚と比べると大幅に増加している。トップ10社のマスクメーカーに対して行った別の調査結果によると、EUVマスクの歩留まりは、わずか64.3%にとどまっていたのに対し、過去12カ月間に露光した46万2792枚の全てのマスクでは、94.8%の歩留まりを達成したという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.