ディスプレイ関連市場は、高精細TVやスマートフォンなどにおいて、今後は有機ELディスプレイ(OLED)の採用が増え、市場が本格的に拡大する見通しである。
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富士キメラ総研は2017年9月、ディスプレイ関連の世界市場に関する調査結果を発表した。今後は、高精細TVやスマートフォンといった用途で、有機ELディスプレイ(OLED)の採用が増加し、市場が本格的に拡大すると予測する。
報告書によれば、タッチパネルを含むディスプレイ関連デバイスの世界市場は、2017年見込みの14兆4043億円に対して、2022年は15兆8368億円規模を予測する。2017年はスマートフォン向けやTV向けなど主力用途の需要回復などにより、2016年に比べて8.5%の増加を見込んでいる。
中小型サイズのディスプレイ市場は、2016年に主力のスマートフォン向けが、大幅な価格下落などにより縮小した。2017年はAMOLED(アクティブマトリクス駆動方式のOLED)やオンインセルなど付加価値の高い製品出荷の比率が高まることなどもあり、市場は拡大する予想である。
大型サイズのディスプレイはTV向けが主力である。この市場は2016年に生産調整の影響を受けてマイナス成長となった。2017年も生産調整が続くものの、パネルの単価上昇によりプラス成長を見込む。
注目のディスプレイパネルを製品ごとに予測した。大型AMOLED市場は、2022年に7617億円規模と予測する。2016年実績に比べて4.7倍となる。ハイエンドモデルに採用するTVメーカーが増え、2018年以降はパネルの出荷数が大きく伸びると予想する。インクジェット方式による量産化と低価格化が、需要の拡大を後押しする。2022年においてOLED搭載のTV市場は、1100万台(2016年比12.9倍)に達すると予測している。
中小型AMOLED市場は、2022年に3兆8523億円が見込まれている。2016年に比べてその規模は2.8倍となる。スマートフォンでは搭載機種が増え、特にハイエンドモデルでは今後、AMOLEDが主流になる可能性が高い。2019年にはAMOLEDが中小型TFT LCDの需要を上回ると予測する。
さらに、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)や車載センターディスプレイなどの用途でも需要が拡大する見通しだ。製品面ではフレキシブルなAMOLEDの採用が増加するとみている。
大型TFT LCD市場は、2014年をピークに市場規模が縮小する。この要因はPCモニターやノートPC、タブレット端末など搭載機器の出荷数が減少したためである。出荷面積は、2017年以降も微増となる見込みだ。TV向けパネルのサイズアップによるものである。
中小型TFT LCD市場も2016年は縮小した。中国のスマートフォン市場で新規需要の増加率が鈍化していることや、AMOLED搭載モデルへの移行が主な理由である。2017年も同様な傾向が続く見通しである。車載やHMD向けなどの用途では大幅な増加を期待している。
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