ドローンを用いたゴルフ場でのキャディビジネスを例題として取り上げる。この例では、新規ビジネスとして成り立たせることでキャディ不足を解消し、既存のサービスに対して新しい価値を付加することを見込む。また、顧客、協力会社からの収益の獲得を目指すものである。具体的には、ドローンを活用することにより、ボールの位置を捕捉することから目的地までの距離を示し、風向きから適切な打ち方のアドバイスをする機能などを想定する。
ドローンキャディを実現するためにどのようなスキルが必要かを明らかにする。
まず、サービスを構想すると、IoT/IoEキャンバス*1)に要素を展開する。技術要素とサービスを構成要素に分離する。IoT/IoEキャンバスでは、要素をマッピングするフレームを提供し、左にステークホルダー、右にサービス利用者を置き、中心にIoTのシステム階層に対応したサービスの実現手段を配置する。
*1)IoT/IoEキャンバスとは株式会社サーキュレーションによるビジネスアーキテクチャー研究ラボが提案している「ビジネスキャンバス」のIoT版で一般的に提唱されており、IoTサービス向けのビジュアルフレームワークIoTサービスを実現する上での「ステークホルダー」や「技術要素」の分解に適している。
[参照ページ:https://www.slideshare.net/kazuyashishirai/io-t-ioe]
図3にIoT/IoEキャンバスを示す。下から、「フィジカル」つまり「センサー」や「システム」「データ」「結合・変換」「加工・分析」を配置し、一番上に「サービス」を置く。
次にIoTキャンバスの構成要素を、IoTのセブンレイヤーの階層に知識体系(BOK)として展開する。ここで、アーキテクチャを検討して、BOKに対応したスキルを「iコンピテンシ ディクショナリ(iCD)」から抽出して、スキル項目を整理すると図4のように示せる。iCDとは企業が着実に成長していくために求められるタスク(業務)とスキル(能力)を体系的にまとめたものであり、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供している(IPA Webサイト:i コンピテンシ ディクショナリ概要)。このようにiCDの定義を用いることで、ドローンキャディに必要なタスク(業務)とスキル(能力)を整理、把握できる。
IoT/IoEキャンバスは、サービスの実現手段を検討する際に有効であるが、ビジネスとして成立するか表現できない問題がある。つまり、コストや収益構造などを示すことが必要である。そこで、IoTキャンバスとビジネスモデルキャンバス(BMC)*2)を融合させた「IoTビジネスキャンバス」を考案した。
*2)ビジネスモデルキャンバスとはあらゆるビジネスモデルを取り扱えることをコンセプトとして、Alexander Osterwalder氏によって考案されたフレームワークである。
[参照ページ:https://www.slideshare.net/Alex.Osterwalder]
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