東芝が2017年11月9日に発表した2018年3月期(2017年度)第2四半期累計(2017年4〜9月期)業績は、メモリ事業での大幅増益により前年同期比1155億円増の売上高2兆3862億円となった。2017年度通期業績見通しについても、メモリ事業で営業利益約4200億円を見込み、全社として前年を上回る営業利益4300億円を予想する。
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東芝が2017年11月9日に発表した2018年3月期(2017年度)第2四半期累計(2017年4〜9月期)業績は、NAND型フラッシュメモリ事業での大幅増益により前年同期比1155億円増の売上高2兆3862億円となった。営業利益もメモリ事業の増益から前年同期比1386億円増の2318億円を計上。しかし、当期純損益については、メモリ事業の会社分割に伴う税額影響を受け、498億円の赤字(前年同期は1651億円の赤字)となった。
メモリ事業の売上高は5618億円で前年同期比1573億円増。スマートフォンやSSD向け需要が旺盛で、売価が安定的に推移したことから大幅な売上増となった。営業利益についても前年同期比1549億円増と大きく伸ばし、営業利益率は36.5%に達している。
メモリ事業と、HDD事業、ディスクリート半導体やシステムLSIなどの半導体事業を含むストレージ&デバイスソリューション部門としても、売上高9720億円(前年同期比1723億円増)、営業利益2358億円(同1575億円)と増収増益となった。東芝代表執行役専務の平田政善氏は「HDDは引き続き堅調で、ディスクリート、システムLSIも構造改革の成果が出ていて堅調に推移している」と述べた。
2017年度通期業績見通しについては、2017年度末までの完了を目指しているメモリ事業の売却影響を反映しない業績として、売上高4兆9700億円、営業利益4300億円、純損益1100億円の赤字を予想。株主資本はマイナス7500億円を見込む。なお、メモリ事業の売却が2017年度末に完了した場合、1兆800億円の譲渡益が計上され、純損益は9700億円の黒字に転じ、株主資本もプラス3300億円となり、債務超過が解消する見通し。
メモリ事業の売却に関し平田氏は、「(メモリ売却先の買収目的会社Pangeaを主導する)BainCapital(ベインキャピタル)と協調し、8カ国/地域(日本、米国、欧州、ブラジル、中国、台湾、フィリピン、韓国)で独禁法の届出書を提出した。債務超過を解消させるには、2018年3月末までにメモリ事業の譲渡を完了させることが第一であり、努力している」とした。その上で「メモリ事業を売却できないとは全く思っていないが、売却のタイミングが遅れる可能性はある。万が一、(2018年3月末に)売却が完了しなかった場合の備え、具体的には決まっていないが、いろいろな資本政策を検討している」と述べた。
メモリ事業の売却を巡っては、メモリ事業で共同生産を行うSanDiskの親会社であるWestern Digital(ウエスタンデジタル/以下、WD)が売却差し止めを主張し、係争状態にある。WDとの話し合いについて平田氏は、「係争中であり状況は明かせない」としたものの「SanDiskの皆さんとは一緒に事業を進めていくことがわれわれの望み、希望」とした。
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