「IEDM 2017」について、技術講演の2日目となる12月5日の午前のセッションから注目講演を紹介する。モアムーアやモアザンムーアを進めていくときの課題や、オールカーボンの次世代多層配線などが発表される。
前回は、技術講演の初日である12月4日(月曜日)午後のセッションから、セッション概要と注目の発表をご紹介した。今回は、技術講演の2日目である12月5日(火曜日)の午前のセッションから、概要と注目講演をご紹介する。
この時間帯は、セッション11からセッション18までの、8本のセッションが同時並行で進む。前日午後の9本同時に比べると1本減ったものの、かなりの忙しさだ。
ここからは、この時間帯をセッション11からセッション14までと、セッション15からセッション18までの2つに分けてご紹介していく。今回はセッション11からセッション14までを対象とする。ニューロモルフィックコンピューティングのモデリング、モアムーア(More Moore)とモアザンムーア(More than Moore)を進めていくときの課題、最先端MOSトランジスタのモデリングとシミュレーション、相互接続(多層配線)技術のセッションがある。
この時間帯の注目講演は、セッション12(モアムーアとモアザンムーアに関する回路とデバイスの課題)とセッション14(相互接続のパターン形成とメモリ集積化)に集まっている。
National Tsing Hua UniversityとTSMCの共同研究チームは、16nm FinFETプロセスで作製する不揮発性ロジックを考案した(講演番号12.1)。不揮発性の状態を制御することで、論理ゲートの機能を変更できる。
National Nano Device Laboratories他の研究グループは、論理ゲートとメモリセルを集積したSRAMセルを試作した(講演番号12.6)。シリコン面積を節約するため、3次元構造を考案している。1個のセルは9個のトランジスタで構成した。2次元の従来型セルで実現する場合に比べてシリコン面積を51%に削減したとする。
University of California, Santa Barbaraは、炭素原子で多層配線を構築してみせる(講演番号14.3)。グラフェンの配線とカーボンナノチューブのビアを試作した。銅配線に比べて優れた性能を示す。
Intelは、量産向けに開発中のEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術を報告する(講演番号14.4)。同技術の課題である、パターンのエッジばらつき低減や光源出力向上、マスクブランク欠陥低減などについて現状を述べる。
(次回に続く)
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