さらに、指先が回外方向(外側に回す)にわずかに曲がる「指先なじみ機能」を搭載。物をつかみやすいようにした。
3社は、からくりを活用して「F-hand」「New D-hand」「オリガミハンド」の3つを開発した。F-handは、人間の手に最も近い、5本指のロボットハンドである。電動ドリルなどの工具もしっかり握ることができる。ゴム手袋や耐熱手袋を装着して物をつかむことも可能だ。
New D-handは、産業向けで3本指のロボットハンド。従来、産業用ロボットハンドが苦手としていた、液体封入パックのような柔らかいものでもつかむことができる。物流や製造ラインでの利用が想定されている。オリガミハンドは紙だけで作ったロボットハンドである。つまり、紙だけで、からくりの構造を再現した。使い捨てができるので、医療や食品などの分野での活用が期待できるという。
ただし、からくりでは、つかむ物体によって自動的に握力や指の曲がり具合が調節されるわけではない。何をつかむかによって、あらかじめモーターでMP関節の“引きしろ”を調節しておく必要がある。
上記のデモでは、「ペットボトル」「イチゴ」「シュークリーム」など、つかむ対象を学習させておき、それぞれについてモーターの“引きしろ”を事前にプログラミングしている。デモ中は上部に設置したカメラで撮影することで、ロボットハンドが「何がどこにあるか」を判断できるようにしているという。
ダブル技研の代表取締役である和田博氏は、製品化の時期について「少なくとも2年はかかる」と語った。現在、ダブル技研は、つかむ対象に合わせて主に2種類のハンド(エンドエフェクター)を40万〜50万円の価格帯で販売している。和田氏は、からくりを採用したロボットハンドについて、「約30万円で提供できるくらいまで量産できれば」と述べた。
都立産業技術高専で、からくりの開発を率いた深谷直樹准教授は、今後の課題の1つとして精度を挙げている。「F-handでは、指先なじみ機能などを実現できた一方で、それによって、つかむ“位置決め”の悪さがあることは把握している」と述べ、その点を開発することが次の目標であると結んだ。
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