NVIDIAの年次イベント「GTC 2018」が米国で開催された。Uberの自動運転車が起こした死亡事故から仮想通貨まで、多くの質問がCEOのJensen Huang氏に寄せられた。
NVIDIAのCEO(最高経営責任者)であるJensen Huang氏は、2018年3月26日から29日まで米国カリフォルニア州シリコンバレーで開催された年次イベント「GTC 2018」で、Uberや中国、仮想通貨などに関する質問に応じた。Huang氏もほとんどのCEOと同様、同社のAI(人工知能)に関する取り組みといったトピックを回答に取り混ぜながら、前向きな姿勢を示した。
同イベントの参加登録者数は8500人に達したという。特に、AIや自動運転車におけるGPUコンピューティングの最新情報についての関心が高かったようだ。
最もデリケートな質問は、Uberの自動運転車が歩行者を死亡させた事故に集中した。NVIDIAもトヨタ自動車やVolvo Carsと同様、自動運転車のロードテストを中止しているが、そのタイミングは適切といえるものではなかった。NVIDIAがロードテストの中止を発表したのは、Uberの事故から1週間が経過した、GTC 2018でのHuang氏による基調講演の日だったのだ。
Huang氏は、NVIDIAが実際には、事故の1〜2日後にはロードテストを中止していたことを明らかにした。同社の広報担当者によると、NVIDIAは5台の自動運転車をロードテストしていたという。
Huang氏は、プレスセッションでの質疑応答で複数の質問に応じる中で、「悲劇的な事故が起きてしまった。Uberには、事故の全容を把握するためのチャンスを与えるべきだろう。業界にいる全ての人はテストをいったん中止すべきだ。恐らく、今回の事故によって新たなデータが出てくるはずなので、われわれは良識あるエンジニアとして、そこから何を学べるのか、成り行きを見守るべきだ。結果を得られるまで、長い時間はかからないだろう」と述べた。
一方で、Huang氏は、自動運転車の開発を継続する必要があること、同市場で利益を得られるようになるまで、まだ2〜3年はかかることに言及した他、ロードテストシミュレーターの新製品についても触れた。
Huang氏は「今回の事故をきっかけに、投資額はさらに増えている。前進するための最善の方法は、開発を阻止しないことだ。当社の顧客のうち、開発スピードを緩めた企業はない。当社でも開発はフルスピードで継続している」と付け加えた。
NVIDIAは、フラグシップ製品である「Volta GPU」のロードマップについては言及しなかったが、自動運転車開発プラットフォーム「NVIDIA DRIVE」の次の2〜3のステップについては大まかに説明した。
NVIDIAの自動運転車用プロセッサ「DRIVE Xavier(ドライブ・エグゼビア)」は、90億個のトランジスタを集積していて、その性能は4世代前のプロセッサ「Parker」と同等だといわれている。
上記のロードマップには後続チップも示されているが、NVIDIAは「Orin」という名称は明かしながらも、その他の詳細には言及しなかった。
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