SEMIジャパンは2018年4月9日、「2018FLEX Japan / MEMS & SENSORS FORUM」の事前記者会見を都内で開催し、同イベントで中核となるフレキシブルハイブリッドエレクトロニクス(FHE)について技術解説と市場動向の紹介を行った。
SEMIジャパンは2018年4月9日、同団体が主催するイベント「2018FLEX Japan / MEMS & SENSORS FORUM」(2018年4月19〜20日、品川THE GRAND HALL)の事前記者会見を都内で開催し、同イベントで中核となるフレキシブルハイブリッドエレクトロニクス(FHE)について技術解説と市場動向の紹介を行った。
同会見の冒頭で、2018年1月にSEMIジャパンの代表に就任した浜島雅彦氏が同イベントの開催目的を説明した。浜島氏は「製造装置や材料、コンポーネントといった過去から軸足を置いてきた(SEMIジャパンの)活動領域に加えて、アプリケーションのエリアまで枠を広げ業界団体として情報提供を行う」ためと背景を説明。
また、「(シリコン半導体と比較して)FHEは見た目が取っつきやすく、アプリケーションも非常に分かりやすいため、業界に興味を持ってもらうきっかけになるだろう。さらに、FHEはデジタルトランスフォーメーションにおけるイノベーション技術の1つであると思っている」として、FHEがこれから半導体業界で注目を集めるであろう技術と紹介した。
それでは、FHEとはどのようなものなのか。産業技術総合研究所フレキシブルエレクトロニクス研究センターセンター長の鎌田俊英氏は「柔軟性を有する材料を用いたフレキシブルエレクトロニクスと、既存の半導体やMEMS技術などの組み合わせ、システムを構成する技術」と説明する。
FHEは、変形できること(変形した状態で回路として機能すること)、耐環境性を持つこと、生産性が高いことなど、プリンテッドエレクトロニクスのメリットを引き継いでいる一方で、同技術では実現できない微細な電気回路を構築する、良いとこどりを目指した技術がFHEとなる。
FHEの変形できる特長の一例として、鎌田氏は伸縮性を持った「伸びる回路」を紹介した。剛体の電気回路では、回路が長くなるにつれて導体の抵抗率に比例して抵抗が増大し、オームの法則に従って回路を流れる電流値は低下する。しかし、この伸びる回路ではフレキシブル基板を伸ばした長さに関わらず電流値はほぼ一定で、これを鎌田氏は「まるでオームの法則に反するようなテクノロジー」と表現した。
この伸びる回路について鎌田氏は「(回路内に)直線配線ではなくバネ状配線を仕込んでおり、(基板を伸ばすことによって)回路長は変化しない」と種明かしを行っているが、「微細なバネ構造を作りこんでいることが大きな技術」(鎌田氏)であるとする。
また、FHEは従来の電子回路と比較して薄型であるため、デバイスに意匠性を持たせやすいこと、人間に存在感を与えずに無自覚情報や高度生体情報を収集できることも大きなメリットとなる。鎌田氏は「人間の気持ちまで伝えられるデバイスへと展開できる」と今後の技術発展に期待感を示した。
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