AI(人工知能)や半導体などの分野に積極的に投資している中国。Cadence Design Systemsの経営幹部は、中国が次に狙っているのはEDA業界ではないかとの見方を示している。
ベテラン投資家であり、Cadence Design Systems(以下、Cadence)のチーフエグゼクティブを務めるLip-Bu Tan氏は、「中国が半導体市場における優位性の確立を目指していく上で、まだ投資の余地がある分野としては、マシンラーニング(機械学習)用アクセラレーターが挙げられる。EDAメーカー各社は、システムレベルへと移行していく必要がある」と主張し、半導体ロードマップ関して強気な見方を示している。
Cadenceのユーザーは、何らかの種類のシステムメーカーが全体の約40%を占めている。その顔触れは、スマートフォンメーカーや、トップクラスの自動車メーカー、軍事/航空関連の大手企業などの他、1年間当たりの設備投資費が850億米ドルに達するとみられる大規模データセンターの所有企業も含まれるなど、非常に幅広い。
Tan氏は、EE Timesの単独インタビューに応じ、「どの大規模データセンターの所有企業も、何らかの形で機械学習やオフロードプロセッサの開発をひそかに手掛けている。現在では、ますます多くのシステムメーカーが、優れたユーザーエクスペリエンスや高性能化、低レイテンシ、ストレージ容量の拡大などを実現すべく、最適化を進め、差別化を模索しているところだ」と述べている。
Cadenceは、医療設計におけるシェアを拡大するための取り組みの一環として、Medtronicと協業している他、フォトニクス分野における事業も拡大しつつある。Tan氏は、「Optical Fiber Conference(OFC)」(米国カリフォルニア州ロサンゼルス、2018年3月11〜15日)に2日間参加していた。また同社は、高速SerDesの開発を手掛ける新興企業NuSemiを買収したという。
Tan氏は、「コンピュータネットワークでは現在、シリコンフォトニクスと高速SerDesがボトルネックになっている。私は10年間にわたり、NuSemiの開発チームの動向を注視してきた」と述べる。
今後、最先端の半導体チップを開発しているメーカーの数は、コストと複雑さが増大するに伴って減少していくとみられることから、Cadenceのシェア拡大への取り組みは当然の成り行きだといえる。
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