メモリ分野では、中国のメモリベンチャー企業であるYangtze River Storage Technology(YRST)が2018年中に32層の3D(3次元) NAND型フラッシュメモリチップを出荷する計画である。Tan氏は、中国のNOR型フラッシュメモリメーカーであるGigaDeviceに投資しているという。
Tan氏は、「中国はメモリ分野では数世代遅れているが、消費ニーズは非常に大きく、ニーズに対応する策を講じる必要がある」と述べている。
中国は過去数年間、国内のマイクロプロセッサ設計技術の育成に取り組んできた。AMDやIntel、IBMなどとの取引の結果、中国国内にも、Arm、IBMの「POWER」、Intelの「x86」のアーキテクチャを使って設計するメーカーが登場しているが、大きなけん引力を持つには至っていない。
Tan氏は、「半導体は、コンピューティング(計算処理)が全てではない。プロセッサはコンピューティングだけに特化したものではなくなり、機械学習やその他の分野にも広がりを見せている。こうした状況を考えれば、いずれ大きな変化が訪れると予想される。プロセッサの未来は1つではない」と語った。同氏が取締役を務めるイスラエルの半導体スタートアップであるAnnapurna Labs(2015年1月にAmazonが買収)は、ネットワーキングタスクのオフロードプロセッサの開発を手掛けている。
Tan氏は、中国が設計の次に注力するのは、中国初の大規模EDA企業の設立だと見ている。同氏は、中国のこの計画に対する不安はないようだ。これまでのところ、中国には特定用途に特化した2社のEDA企業しかない。
China Electronicsは、そのうちの1つのEDAツールの開発を手掛ける広東省の大規模複合企業で、近く30億米ドルの大型投資を受ける予定だといわれている。一方、Cadenceは既に、南京など中国の複数の都市に650人の従業員を抱えていて、TSMCが計画している工場の近くにIPの子会社を設立する予定だという。
Tan氏は、「われわれは、中国のEDA業界について注視している。“中国版Synopsys”や“中国版Cadence”といったEDA企業を作るためには、多数のM&Aが必要になるだろう」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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