2018年4月、米国企業によるZTEへの半導体およびソフトウェアの販売を7年間禁止することが発表された。この決定が実行されれば、ZTEは壊滅的な打撃を受けると予想される。
2018年4月、米国企業によるZTEへの半導体およびソフトウェアの販売を7年間禁止することが発表された。この決定が実行されれば、ZTEは壊滅的な打撃を受けると予想される。同社が貿易戦争の犠牲になれば、米国産の電子部品の年間売上高は50億米ドルも減ることになる。
現在IC Insightsのプレジデントで、かつてZTEのモバイルエンジニアリング部門でマネジャーを務めていたBill McClean氏は「ZTEへの販売禁止には非常に驚いた。米国は、ZTEが事業を存続できるかどうかの決定権を握っている。それは、中国政府ならびに同国のエレクトロニクス産業のプライドを打ち砕く図式であるといえる」と述べた。
McClean氏や他の市場観察筋は、米国企業製のチップやソフトウェアを一切使わずに、ZTEが提供する数多くの通信システムや携帯電話を再設計するのは、同社にとって不可能であるとの見解を示した。推定7万4000人の従業員を抱える企業に対するこうした措置は、何が危機にさらされているのかを示唆している。
中国は過去10年間にわたり、その広大な市場への参入権と引き換えに、欧米の技術を手に入れてきた。そうした力学によって、中国は米国の技術企業がビジネスを展開する上で、人気と不満が最も高い市場となった。
2017年、米国の半導体企業は、米国政府による中国への調査の一環として、不満や苦情が記載された長いリストを提出した。それを受けて、トランプ政権は中国企業のさまざまな技術製品に対して25%の関税を課すことを決定したが、現時点でこの決定は再検討中となっている。
いずれの側も、緊張の高まりによって何らかの手だてを早急に講じざるを得なくなり、それによって長期にわたる敵対が緩和されるという展開を望んでいる。米国と北朝鮮の間の政治力学が好転したことで一定の期待感は生み出されたが、ZTEへの販売禁止に対する中国の反応と、米国が次に講じる手段については、現時点ではいずれも明らかになっていない。
McClean氏は「この貿易戦争の先行きは危険であり、勝者が誰もいないという結末もあり得る」と分析した。
技術政治が展開する中、ZTEに対する販売禁止が、直ちにどのような影響をもたらしているのかについては、現時点では明らかになっていない。
これまで、ZTEのスマートフォン事業のみが注目されてきたが、同社は収益のほとんどを通信装置の売り上げから得ている。2017年、同社はおよそ5000万台の携帯電話を販売し、約56億米ドルの収益を得たが、通信装置関連の収益はそのおよそ倍の100億米ドルだったという。
多くの側面から、ZTEはHuaweiの弟分的な存在であるといえる。両社とも、高度に多様化された通信システムメーカーであり、非常に優れた半導体技術を有している。2社は、成長を続ける中国の通信市場で大部分のシェアを得ることを享受してきた。Huaweiの方が規模ははるかに大きく、より洗練されている上に、グローバルにビジネスを展開している。
もしZTEをめぐる今回の措置について何らかのコメントを出す最初の企業は、Qualcommになるかもしれない。Qualcommは2018年4月に人員削減計画を発表している。Dell'Oroでシニアアナリストを務めるStefan Pongratz氏は、「今回の禁止措置については、さまざまな質問、疑問を受け取っている」と述べた。
今回の貿易戦争が長引けば、5G(第5世代移動通信)分野にも影響を与える可能性がある。同市場は2022年までに120億米ドルの規模に成長すると見込まれているが、中国はそのうち約半分の市場シェアを持つとみられている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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