今後の売り上げ成長の柱の1つに据えるCLEAN-Boost技術は、SIIの半導体事業部門時代から時計向けで培った、環境発電素子からの微小な発電電力を有効活用するパワーマネジメントIC技術をベースに開発した技術。0.35V、1μWという低電圧、低電力で動作するICで、微量な発電電力の蓄電を監視し、無線機能を駆動させる電力に変換することができる。エイブリックでフェローを務める下田貞之氏は「これまで、1V未満、1mW未満の微小な電力では、ICを駆動できずそのために、微小な発電電力は使用できず、捨てられてきた。CLEAN-Boost技術は、使用できなかった微小な発電電力を、無線を駆動できるレベルにまでためることができる。まさに不可能を可能にする半導体技術」と強調する。
CLEAN-Boost技術は既に、立命館大学理工学部電子情報デザイン学科道関研究室がワイヤレスおむつ発電センサーやワイヤレス植物活性モニタリングシステムとして応用。さらに、大成建設と漏水検知システムを共同開発。「他にもさまざまな顧客に対し、サンプル提供を行っている。2019年には、漏水検知システムなどで実用化できる見通し」(下田氏)とする。また、下田氏は「CLEAN-Boost技術は、ICの提供だけでなく、SIIと連携しクラウドサービスも提供する他、センサーベンダーとも連携し“ソリューション”として事業を展開していく」と語った。
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