エイブリックは2018年5月11日、都内で経営方針などに関する記者説明会を開催し、新規事業立ち上げ、新製品強化を通じ、2023年3月期(2022年度)に売上高500億円規模を目指すとした。
エイブリックは2018年5月11日、都内で経営方針などに関する記者説明会を開催し、新規事業立ち上げ、新製品強化を通じ、2023年3月期(2022年度)に売上高500億円規模を目指すとした。
エイブリックは2018年1月5日に、筆頭株主がセイコーインスツル(SII)から日本政策投資銀行(以下、DBJ)に移ったことに伴い、それまでのSIIセミコンダクタから社名を変更。エイブリック(英文表記=ABLIC)という社名は、「Able」(=できる)と「IC」を組み合わせた造語で、「“半導体技術で不可能を可能にする”という意味を込めた」(社長兼CEOの石合信正氏)という。
2017年度業績は売上高328億円、営業利益48億円で、営業利益率は14.6%。石合氏は「15%近い営業利益率で(収益性は)悪くない」と評価する。従業員数945人(2017年度末時点)。
出資比率を30%から70%に高め筆頭株主となったDBJの常務を務める富井聡氏は、エイブリックへの出資の狙いについて「アナログ半導体は、顧客とのすり合わせが大切で、日本に合う市場であり、日本で世界に通用するプレーヤーを作りたいという思いが以前からあった。そうした中で、SIIとの縁があり出資に至った」と説明。その上で「エイブリックは、豊富な製品ラインアップを持ち、特定顧客に依存しない顧客の広がりを持っているという特長がある。売り上げ規模こそ300億円規模ながら、いくつかの製品では、世界トップシェアになっており、その点が高い収益力につながっている」と話した。
新たな筆頭株主、新たな社名で再スタートを切ったエイブリックは、世界に通用するアナログ半導体専業メーカーを目指して2018年度を初年度とする3カ年の中期経営計画を策定。2020年度までに新規株式上場(IPO)が可能な社内環境を整備する他、2020年度売上高目標として350億円を掲げる。売上高350億円という規模は、2017年実績に比べ6.7%の成長にとどまる。年率で7%程度伸びるとされるアナログ市場の平均成長率も大きく下回る。“低成長”の目標を掲げた理由について石合氏は「今後、3年間は、成長に向けた準備を加速させる」とし、売り上げ拡大より優先して、収益力の底上げを図る他、会社組織の強化、商品開発などに重点を置く。その上で「2022年度に売り上げ規模を500億円にしたい」という。
500億円規模への売上高成長の実現については、独自の電池レス無線センサー技術「CLEAN-Boost技術」を軸にしたソリューション型ビジネスで新たに50億円程度のビジネスを立ち上げる他、「現在、既に開発中の新製品群で50億円を創出するなどし、売り上げ規模500億円を目指す」(石合氏)とした。
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