コネクターなど電子部品大手であるTE Connectivity日本法人のTEジャパン。同社社長の上野康之氏に、将来の自動車に求められるエレクトロニクス技術や、それを支えるサプライヤーのあるべき姿を聞いた。
技術革新が続く自動車業界。エレクトロニクスが深く関わる自動車の「電動化」「自動運転」「コネクティビティ」といったキーワードは、自動車を取り巻くトレンドとして既に見慣れたものとなっており、今後これまで以上に自動車業界とエレクトロニクス業界は接近していくだろう。
EE Times Japanでは「エレクトロニクスメーカーが展望する自動車の未来」と題し、各社の車載事業を統括するトップに対してインタビューを行っている。
今回は、電子部品大手であるTE Connectivityの日本法人タイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TEジャパン)で社長を務める上野康之氏に、将来の自動車に求められるエレクトロニクス技術や、それを支えるサプライヤーのあるべき姿を聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) 現在、自動車業界は技術革新と同時に、ビジネスモデルまで変革する激動の時代を迎えています。自動車業界のサプライヤーとして、TEジャパンでは今の状況をどのように見ていますか。
上野康之氏 今の自動車業界は、「CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)」の一大トレンドに注目が集まっている。TEジャパンが特に注目している分野は、コネクテッドと自動運転だ。また、電動化にもビジネスの機会を見つけている。
まず、コネクテッドと自動運転は密接に関連しており、自動運転の実現には車車間・路車間通信を含めたV2X(Vehicle to everything)など、無線技術が必要不可欠だ。また、有線通信である車載ネットワーク高速化に対するニーズも多い。TEジャパンは無線と有線のどちらも製品ラインアップを取りそろえており、この分野が発展することは大きなビジネスチャンスだと見込んでいる。
電動化の観点では、ハイブリッド車全盛期といえる現在の状況がわれわれのビジネス面からみると好ましい。なぜなら、ハイブリッド車はエンジンとモーターといった2種類の動力源を制御するため、ECU(電子制御ユニット)などの電装品搭載数がノンハイブリッド車よりも多いためだ。
一方で、ハイブリッド車よりさらに電動化が進んだEV(電気自動車)は、動力源がモーターの1種類でエンジン制御に用いていたECUは不要となる。また、モーター制御用ECUもシンプルなハードウェア構成で良いため、EV化によって動力制御に必要な電子部品点数は減少する。
よって、電動化の観点では製品に付加価値を与えることがカギだ。例えば、電動車のパワートレインに接続するコネクターは高電圧高電流への対応が進んでいるが、一方でより小型にすることが求められており、この両立は製品の差別化につながる。OEM(自動車メーカー)やTier1が抱える課題を解決し、高付加価値の電子部品を提供することが重要だと考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.