「HDMI 2.1」は、テストスペックの仕様書が2018年第2〜第3四半期に段階的に公開される予定であり、実際に製品が市場に出てくるのは間近だと考えられる。そこで、HDMI 2.1の特徴的な機能を振り返ってみたい。
「HDMI 2.1」は、HDMI Forumが2017年1月に発表したHDMI規格の最新バージョンである。規格の策定自体は完了しているものの、コンプライアンステストの仕様書(テストスペック)は完成していないので、HDMI 2.1対応の製品はまだ市場には投入されていない。HDMIを含め、さまざまな規格の認証やテストを行う第三者検証・認証試験機関であるアリオンによれば、コンプライアンステストの仕様書は、2018年第2〜第3四半期に段階的に公開される予定となっている。そうなればテスト、認証を行うことができるので、市場に製品が出てくるのは間近だといえるだろう。今回は、HDMI 2.1で追加された特徴的な機能をあらためて紹介する。
まずは、eARC(enhanced Audio Return Channel)だ。ARCは、テレビとAV機器(ホームシアターなど)の間で音声信号を双方向に通信できる機能で、従来のHDMIでも対応していた。ただ、従来のARCでサポートしていたオーディオは2チャンネル/48kHz(LPCM形式)だったが、eARCではこれが8チャンネル/192kHzまで対応できるよう拡張されている。その他、「Dolby TrueHD」「Dolby ATMOS」「DTS-HDマスターオーディオ」「DTS:X」といった最新のオーディオコーデックをサポートしている。
「Dynamic HDR」も、HDMI 2.1の重要な機能である。Dynamic HDRは、ビデオ信号とは別に、メタデータを制御する信号を出し、フレームごとにメタデータを動的に変えることで、コントラストや色深度、色域を、フレームごとに細かくコントロールする機能だ。昼間のような明るいシーン、夜のような暗いシーンなど、シーンによって適切なコントラストや色深度を実現できるようになる。
4Kや8Kだけでなく5Kと10Kに対応するなど、幅広い解像度をサポートする点も大きな特長だ。8Kでは、より具体的には8K/60Hz/444(カラーフォーマット)をサポートできる。現行のHDMI 2.0では、4K/60Hz/444までならサポートしているが、8K/60Hz/444の信号を出力したい場合に帯域が足りなくなる。HDMI 2.1では、より高解像度の映像を伝送するために、最大48Gビット/秒(bps)のデータレートをサポート可能だ。4K/60Hz/444の信号を4倍まで出力できるようになるので、非圧縮の8K/60Hzや4K/120Hzの信号にも対応が可能だ。
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