ここからはオンオフ変調ではなく、4値パルス振幅変調(PAM-4)によって112Gbpsと超高速の光信号を伝送する実験と結果をご説明しよう。先に説明した、NRZ信号をオンオフ変調する光ファイバー伝送との大きな違いは、光変調回路の構成である。
光変調は、2個の電界吸収変調器(EAM)を並列に動作させることによって実施する。具体的には連続発振レーザー(CWレーザー)の光をスプリッタで2チャンネルに分割し、1チャンネルだけは90度の位相差を与える。2チャンネルの光をそれぞれEAMによって56Gbpsでオンオフ変調する。変調後の光信号を合波器(コンバイナ)でまとめ、112GbpsのPAM-4信号として出力する。
この実験では、長さが1kmの光ファイバー(種類は不明)と長さが2kmの光ファイバー(種類は不明)で伝送した光信号を直接接続(b2b)と比較した。直接接続(b2b)のときにビット誤り率(BER)は10のマイナス6乗以下である。長さが2kmの光ファイバーで伝送した信号は、前方誤り訂正(FEC)を駆使することで、同程度のBERを達成できているとしていた。
2個の電界吸収変調器(EAM)を並列に動作させたPAM-4によって112Gbpsの光信号を伝送する実験。左上は光変調のセットアップ。レーザーの光を2チャンネルに分割して1チャンネルだけ90度の位相差を与え、それぞれを変調してから合波器でまとめている。右上は直交座標系で見たPAM-4の振幅と位相。90度の位相差を1チャンネルに与えることで、きれいな4値変調を得ている。左下は光ファイバーで伝送した信号の受信波形。長さ2kmの光ファイバー伝送では、信号波形がかなり歪んでいることが分かる。出典:imec(クリックで拡大)(次回に続く)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
シリコンフォトニクスで使われる主な光変調器
情報社会の大いなる“裏方”、光伝送技術
デジタルイノベーションを支える光ファイバー
電気通信と光通信の境界
光ファイバー通信の基礎知識
有機電子光デバイス用高分子、新合成法を開発Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング