今回は、エンタープライズデータセンターに続き、GoogleやFacebook、Appleなどが抱える巨大なデータセンター、「ハイパースケールデータセンター」について解説する。
現在のハイパースケールデータセンターは数万平方メートルもの敷地に巨大な建物を建て、その中に数十万から百万台以上のサーバが設置され、巨大なネットワークで接続されている。
設備投資と運用コストを下げるためにスケールを追求する競争は「Web 2.0」のブームに乗って2010年前後に始まった。現在も巨大なデータセンターの建設が進められている。図1に、Facebookが建設中の巨大プロジェクトを示す。今年(2018年)3月に起工式を行い、2023年の完成(2020年に一部運用を開始)を目指している、6つの巨大な倉庫のような建物から成るデータセンターだ。
2016年の時点で、ハイパースケールデータセンターを所有するのは24社である。Amazon Web Services(AWS)、Salesforce、Google、Microsoft、Oracle、Facebook、Apple、eBay、騰訊(テンセント)、阿里巴巴(アリババ)などが含まれる。そのアーキテクチャは各社のビジネスモデルで異なっている。
しかし、光伝送技術の視点では、基本構造は同じだ。これに関しては3つのポイントがある。
第1のポイントは、光ファイバーファブリックを冷却や電力関係のインフラと同様に、例えば20年間は使用することだ。サーバやネットワークスイッチは「ムーアの法則」で発展するICの世代と光伝送技術(データレート)の世代を見ながら、4〜5年ごとに入れ替える。このため、インフラとなる光ファイバーはネットワーク速度の4〜5世代分に耐えなければならず、帯域が100THz以上あるシングルモードファイバー(含む光コネクター)が敷設されている。
第2のポイントはノンブロックネットワークを構築していることだ。これを実現するために、膨大な光ファイバーリンクが構造化され、敷設されている。効率のよい仮想マシンの運用とビッグデータ・クラウドコンピューティングのために、ハイパースケールデータセンターにおけるトラフィックの80%以上がサーバ間通信である。これを「東西トラフィック(East-West Traffic)」と呼ぶ。「東西トラフィック」を低レイテンシで実現する、膨大で、規則的だが複雑なトポロジーのノンブロックネットワークの構築に、各社が工夫を凝らしている。
第3のポイントは階層構造である。スケールアップ、Colocationや更新を容易に行えるよう、階層的モジュラーを積み重ねている。「Pod」というサーバ群を分割したモジュラーを最小単位とし、複数個のPodの上にネットワークを構築して上位のモジュラーとする。さらに、複数個の上位のモジュラーの上にネットワークを構築する。このように、階層的にネットワークを積層させていく方法で、膨大な数のサーバ(それぞれ容易に相互通信できる)から成るデータセンターを構築する。
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