過去の大ヒットゲーム機の復刻版として、2018年に発売された「NEOGEO mini」。約30年の時をへて市場に再登場したこのゲーム機の中身は、かつのように米国製、日本製の半導体ICではなく、中国製ICが占めていたのだった。
過去の大ヒットゲーム機と複数のソフトウェアを当初から組み込んだクラシックゲーム機が各種販売されている。2018年には復刻版として7月に「NEOGEO mini(ネオジオミニ)」の販売が開始された。
「NEOGEO」は1990年に業務用、1991年に家庭用が販売されたゲーム機である。初期のゲーム市場を形成した1台である。図1は2018年7月に発売されたNEOGEO miniの梱包箱、外観、そして製品の底面に貼られているシールに書かれた製品情報だ。
1990年当時、NEOGEOを販売していたSNKとは別の知財を継承する別会社である。NEOGEOが生まれた1990年から、28年の時を経て復刻されたものがNEOGEO miniだ。復刻版は重さ390g、手のひらに乗る大きさで、高さは162mm。3.5型ディスプレイを備え、ジョイスティックコントローラーとステレオスピーカーも備えている。あらかじめ40タイトルのゲームが組み込まれているので、買ってすぐにゲームを楽しむことができる。
端子も豊富だ。外部モニターに接続するHDMI、外部コントローラー用端子、ヘッドフォン端子、給電端子などが本体の両サイドに備わっている。またゲーム中断、再開も可能だ。
NEOGEOはNXP Semiconductorsのマイコン「MC68000」(もともとはMotorolaの製品)を搭載し、ソフトウェアはROMカセットで提供されていた。では、28年の時をへた復刻版、NEOGEO miniの中身はどのように変わっているのだろうか。
図2はNEOGEO miniを分解してコンピュータ処理を行う処理基板を取り出し、主要チップをハイライトしたものである。処理基板以外にもディスプレイ、ジョイスティックコントロール基板、スピーカー2基が内部に入っている。
処理基板からおのおの、配線を介して接続される。処理基板には機能チップとしてトータル6個のチップが搭載されている。ハイライト以外に、Micron TechnologyのNAND型フラッシュメモリ、台湾ESMT(Elite Semiconductor Memory Technology)のDRAMが搭載されている。メインのプロセッサは中国Actions Semiconductor製である。プロセッサの電力を最適化する電源ICも同社のものが使われ、チップセットを形成している。
プロセッサはDRAMと電源ICの2点をセットとして機能することが多い。バラバラのメーカー製品を組み合わせることもあるが、近年では同一メーカーでプロセッサと電源ICをキット化することが多い。中国メーカーでもプロセッサと電源ICを組み合わせるものが主流になっている。例えばスマートフォンで実績の大きい、Huawei傘下の半導体メーカーHiSilicon、Spreadtrum、Leadcore Technologyなどは必ずセット化している。またタブレットやセットトップボックスで実績の大きいRockchipもセット化で製品に提供されている。
NEOGEO miniでは、中国Actions Semiconductorのチップセットを用いているわけだ。これで機能(電力も含む)もほぼ完成している。
スピーカーから音を出すためのオーディオアンプは中国深センのNSIWAY製を2基採用する。左右のステレオスピーカーをそれぞれ駆動する構造だ。
6個のチップ中、4個が中国製半導体となれば、NEOGEO miniはほぼ中国製半導体で動いているということになる。
28年前の初期のNEOGEOは上記のような米系半導体や日本のYAMAHAのオーディオ半導体などで構成されていたが、時を経て同じ機能がほぼ中国製で再現されるようになったわけだ。しかも当初から40タイトルのゲームソフトウェアが組み込まれ、さらにHDMI端子も備えているのである。
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