半導体メーカーが生産を打ち切ったEOL品を、再生産するメーカーが存在する。そうした再生産品は、信頼のおけるものなのだろうか? EOL品を再生産し、販売するRochester Electronicsの日本法人に聞いた。
上の写真は、Intelが1982年に発売したマイクロプロセッサ「80186」の68ピンPGAパッケージ品だ。組み込み用途向けに開発された製品で、さまざまなFA/産業機器をはじめ、軍事用途でも使用されたマイクロプロセッサ。発売以来、2007年9月まで20年以上にわたって生産され続けた、まさにロングセラー製品だ。チップには、「i」の文字をベースにした1982年当時のIntelのロゴが刻印されていて、歴史を感じる。
そして、下の写真を見てほしい。
最初に紹介した写真と同様「MG80186-8」という型番が刻印され、「INTEL」という文字や軍事グレード品であることを示す「Ⓜ」の刻印も確認できる。同じ64ピンPGAパッケージの80186と思われるが、Intelの「i」のロゴは見当たらず、代わりにパッケージ左上に見慣れないロゴらしきものがある。偽物なのだろうか……。
少なくとも見た目が違うという点で“本物とは違う”という点だけは確かだ。
この見慣れない企業ロゴを刻印したチップを販売しているRochester Electronics(以下、Rochester)の日本法人に聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) このデバイスは、Intelの80186のコピー品ですよね? 80186を名乗って良いのですか?
Rochester日本法人 波多野友利氏(=品質管理&フィールドエンジニア部長) 正規メーカーであるIntelから認定を受けて製造したデバイスであり“偽物”や“コピー品”ではありません。正規メーカーであるIntelに認められた「80186」です。
EETJ このデバイスを製造したのは、Rochesterですよね?
波多野氏 はい。Rochesterが協力工場に委託して製造したものです。
EETJ 半導体の場合、製造ラインが違えば“別物”と呼べるぐらい特性が変化することもあります。それでも「80186である」と言ってよいのですか?
波多野氏 Intelが80186を販売していた際に保証していたスペックを100%保証できるという点で、同じデバイスです。異なるのは、販売するメーカーがRochesterであることと、Rochesterのロゴ刻印があるパッケージの刻印が一部違うという点だけです。
EETJ どうしてそこまで“同じデバイス”と言い切れるのですか。
波多野氏 Rochesterは、製造中止(EOL)になった80186を継続生産することをIntelから単に認められているだけではなく、Intelから80186の設計情報や製造に関わる各種レシピ、テストプログラムを譲り受け、限りなく忠実に、正規メーカーであるIntelと同じように製造しているからです。
従来の80186から単純に置き換えていただいても、間違いなく動作します。
EETJ 仮に不具合があった場合は、誰が保証してくれるのですか?
波多野氏 Intelがそれまで保証していたのと同じように、Rochesterが保証します。
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